第8回 ソニー PORT(東京都・港区) 稲水伸行氏 東京大学大学院 経済学研究科 准教授
どのような空間ならば、「学び」は促進されるのか。
オフィス学を研究する東京大学大学院経済学研究科准教授の稲水伸行氏が
企業の研修施設をめぐり、学びを促進させる工夫を解説する。
社員間の化学反応を促す“多様性を活かした成長の場”
ソニーの研修施設PORTは東京・品川駅のそばの本社ビルSony Cityの5階にある。エレベーターを降りると、天井から掲げられた「PORT」の表示が、他の執務フロアとは別の空間を演出する。
「PORT は、“多様性を活かした成長の場”として昨年11月に完成しました。ソニーの社員が成長し続けることを体現するバーチャル空間という位置づけで、互いに刺激を受けながら学び成長する場、人材の多様性を活かしながら個の成長を後押しできる場として設立しました」(人事センター人材開発部組織・人材開発Gp統括課長の岡村啓央氏)
フロア中央は広々としたオープンスペースになっており、その両脇に研修室やディスカッションルームが配置されている特徴的な造りだ。
「PORT という名称には港や中継地点という意味合いがあり、ここでいろいろな人と出会ってほしい、ここを拠点に挑戦や創造へ漕ぎ出してほしいという思いが込められています。ですから、出会いにつながるスペースを中央に設け、その他の空間も、挑戦や創造、個性や多様性を意識しています」(人事センター人材開発部の小林誠司氏)
さっそく、それぞれの空間を紹介していこう。