企業の研修施設に突撃! 研修効果を高める ラーニングスペース 第2回 味の素
「空間設計」は、社員の学びを促進する重要な要素のひとつである―。そう語
るのは、オフィス学を研究する東京大学大学院経済学研究科准教授の稲水伸行
氏である。特に企業が保有する研修施設には、研修効果を高め、学びを促進する
工夫があるはずだ。そこで本連載では稲水准教授が企業の研修施設をめぐり、
研修効果を高める工夫について解説する。第2回となる今回は、「味の素グルー
プ高輪研修センター」を訪ねた。
味の素グループ高輪研修センター
研修センターに日本庭園!
エントランスホールに足を踏み入れると、窓ガラス越しに目に飛び込んできたのは、なんと日本庭園です(左ページ写真)。鬱蒼と茂る木々の緑が美しく、池には優雅に泳ぐ錦鯉の姿も。池の奥には茶室もたたずみます。なぜ、研修施設にこのような庭園があるのでしょうか。
「日本発のグローバルカンパニーを掲げているので、研修や会議などに参加するため海外から訪れる私共の仲間たちも含めて、皆様に『食』と同時に日本の和の文化も伝えたいという思いがあります」(グローバル人事部人財開発グループ マネージャー 福永貴昭氏)
この高輪研修センターが建つ約1,000 坪の敷地は、もともと創業者が1916 年に購入した別邸でした。戦後は『味の素記念館』として展示などをしていましたが、「創業家の地から世界に羽ばたくグローバルな人財を育てよう」ということで、2004 年にこの場所に研修センターを建設したそうです。
施設は3階建て(写真1)。地下1階から3階まで吹き抜けになっており、自然採光の明るい空間が広がります(写真2)。地下1階と1階は会議室、2階と3階が研修室になっていて、日々、グローバル人財も交えて、さまざまな研修が行われています。