CASE1 日本野外研修ワークショップ協会 自然のなかで“転地効果” 非日常空間での気づきと実践が 記憶に残る学びになる 田中孝治氏 日本野外研修ワークショップ協会 代表理事
山梨県の河口湖に、土日より平日の方が稼働率の高いキャンプ場がある。
そこでは、自然豊かな環境を生かした野外研修が行われている。
野外で身体を動かすからこそ得られる気づきとは、どんなものなのだろうか。
ビジネスの大切な要素に楽しい体験を通じて気づく
日本野外研修ワークショップ協会では、キャンプ場「清水国明の森と湖の楽園」のほか全国16カ所の認定施設にて、認定講師が野外研修を行っている。
「人と人が協力して何かを成し遂げるために必要な要素は、ビジネスでも遊びでも同じです。野外での楽しいアクティビティを通じて、ビジネスにも通じる大事な要素に気づく。そのことで枝葉となるスキルではなく、人としての“根っこ”にあたる部分を伸ばすことをお手伝いしています」
そう話すのは、自らも講師を務める代表理事の田中孝治氏だ。同協会が提供する研修のアクティビティは、アウトドアが苦手な人も楽しんで参加できる難易度設定になっており、サービス開始からの11年間で延べ1,106社、4万4,020名が受講した。『7つの習慣®』や「リアル宝探し」とコラボレーションしたプログラムもあり、大学の授業にも取り入れられている。
自然に囲まれたキャンプ場という非日常空間で学ぶことの一番の効果は何なのだろう。
「テキストのあるものを学ぶには、快適な会議室の方が当然適しています。一方で自然のなかは、人間が気づきを得やすい環境だといえます」(田中氏、以下同)
その理由のひとつが「転地効果」だ。日常生活を離れ、豊かな自然環境のなかで美しい風景と出会うなど刺激的な体験をすることで、感性を司る右脳の働きが活発になり、深い学びが得られるという。
野外で具体的に何をするのか、例を見ていこう。
「気づき」を誘発するアクティビティ
【1日目】
「スーツを脱いで森へ行こう」というテーマを設定しており、キャンプ場には時計と携帯をもち込まないのがルール。日常から非日常への移行を明確にすること、休憩時間中の参加者同士のコミュニケーションを促進することなどが目的だ。