残業削減から育成まで効く 業務予定の報・連・相
プレイングマネジャーが増え、
職場コミュニケーション不全が進む昨今。
報・連・相はOJT のカギであり、
同時にマネジメントの課題でもある。
とはいえ、ただ「報・連・相しろ」といい続けるだけでは
問題は解決しない。そこで紹介するのは、
朝礼と夕礼で、全員が自分の業務予定の報・連・相を
徹底するフリービットの取り組みである。
「重要なのはリソースの
割り出しと割り当て」
「きっかけは自分が個人的に取り組んでいたスケジュール管理法なんでですよ。取り組み始めたのは2009年2月。当時の私は、新たに課せられた仕事のことでいろいろと悩んでいました。というのも、組織の編成に伴い、もともと従事していた秘書業務の他に、兼務していた広報の仕事への関わり方も変わってきていたんですね」
インターネットサービスにおけるインフラからコンサルティング、 ソリューションなどさまざまなサービスを提供するフリービット。広報を務める中村みく氏は、秘書としては同社で10年近いキャリアを持っていたが、広報については経験も浅く、迷うことが少なくなかったという。入社10年目ということで、会社の期待値も上がりつつある時期だった。
広報グループは秘書2名、広報チーム4名、合計7名(中村氏含む)という小さな組織。年次は中村氏が一番上。リーダーとして後輩たちをまとめていくうえで、壁を感じていたという。会社、そして組織の方向性をどう部員に伝え、目標を達成すべくコミュニケーションを重ねていけばいいのか。「まず、『報・連・相をチームに根づかせなければ』と思っていたのですが、うまくいかず、頭痛の種でした。『伝わっていると思っていたことが、きちんと伝わっていなかった』『報告のタイミングが遅すぎる』『完了できると思って任せた仕事を、完了できなかった』といったことが時折あり、部下との意思疎通に課題を感じることが少なくなかったのです」
そんな頃、代表取締役社長 CEOの石田宏樹氏に悩みを打ち明けた中村氏。どうすればうまくチームをまとめていけるかわからず迷っていると話したところ、石田氏の助言はこうだった。「リソースの設計ができていないと、リーダーとして成功できない。重要なのは、リソースの割り出しと割り当てだよ」「なるほど、と思いました。日頃使っているグループウェアのスケジュール表には、打ち合わせなどの予定しか入っておらず、各メンバーの仕事の細部まで把握できません。どんな優先順位で取り組んでいるかも不明でした。これでは適材適所の仕事分担など、できるはずがありません」
しかも、広報グループは経営トップに近い立ち位置。トップダウンの案件が、日々、イレギュラーに飛び込んでくる。締め切りの前倒しも日常茶飯事。そんな現場で、若手たちはうまく仕事の優先順位を付けられず、混乱に陥ることもしばしばだった。また、仕事は繁忙をきわめ、社内でも最も残業の多い部署だったという。「しかし、石田の言葉で、『メンバーの業務内容を細部まで把握すれば、ちゃんとリソースを設計できるはず』と気づきました」
ただ、考えてみると同じことは自分自身の仕事にもいえたと中村氏。業務の洗い出しはしていたものの、一つひとつの作業時間までは計算していなかった。順次、着手して完了していく積み上げ型で行っていたのだ。