INTERVIEW4 自分を表現することで心が鍛えられる 「どうすれば相手に伝わるのか」 考え、追求できる生徒を育てる akane氏 振付師/登美丘高校ダンス部コーチ
キレキレの「バブリーダンス」で一躍注目された登美丘高校ダンス部。
バブルを知らない高校生が繰り出すコミカルでユーモラスな動きも話題となった。
その振付・指導を担当しているのがakane氏だ。
多感な女子高生をどのように指導しているのか、育成に対する考えを聞いた。
お客さんを喜ばせるパフォーマンスを
―登美丘高校ダンス部が注目されたきっかけは、17年「日本高校ダンス部選手権」でのパフォーマンスでした。
akane 氏(以下、敬称略)
このときの成績は準優勝で、日本一には届きませんでした。15年、16年と2連覇していただけに、3年生は特に悔しがっていましたね。ダンスは本来、成績を競うものではありませんが、部員にとっては、“勝負”も3年間部活を頑張り抜くための大きなモチベーションになります。ですから、目標を決めて努力することはすごく大事だし、私もそこはこだわっています。
ただ、あの大会での生徒たちのパフォーマンスに、後悔はありません。なぜなら、お客さんがものすごく喜んでくれたからです。「バブリーダンス」が終わった瞬間、会場が大歓声に包まれて。私も客席で見ていたのですが、思わず鳥肌が立ちましたね。成績は準優勝でしたが、“お客さんに楽しんでもらえた”というのは登美丘高校ダンス部にとって、何よりうれしいことなんです。
―常に観客を魅了し、沸かせるパフォーマンスには、テレビや映像、イベントへの出演オファーが引きも切りません。一公立校の部活動としては異例の注目です。
akane
今年は夏にロサンゼルスで開催されるダンスの世界大会に出場する予定ですし、恒例の自主公演もあります。そのうえで、外部の活動も生徒たちにはできるだけ経験させてあげたい。こう言うと、コーチの私が部活を全部仕切っているように聞こえるかもしれませんが、そんなことはありません。こういう活動がしたいとか、この大会を目指したいという目標や計画は、基本、生徒が自分たちで話しあって決めるのが、登美丘の伝統なんです。私や顧問の先生とすり合わせはしますけどね。
「経験を積むために、1年生だけで大会に出場させたい」という意見が出たこともありました。やらされて踊るのと、自分たちの意思で踊るのとでは、個人としてもチーム全体としても、パフォーマンスの出来がまるで違います。今年のメンバーは自信満々で超積極的(笑)。あれもこれもやりたいと欲張るので、ブレーキをかけるのがちょっと大変なんですよ。