個人の創造性とやる気を組織力に高める対話
NEC では2007年より、組織改革のための大規模な対話集会が行われてきた。これを支える
中島英幸氏(コーポレートコミュニケーション部)が、自身の経験をもとにした対話の有効性を、P32からはその活動を中島氏をはじめとするメンバーとともに推進する小西勝巳氏(経営企画部)が具体的な取り組みを語る。
議論から「対話」の時代へ
NECでこの3年ほど、社員同士が相手の話を傾聴し、自由に話をする「対話」文化づくりに携わってきた。そのきっかけの1つには、以前、人事部門に所属していた際の経験がある。個人や組織の力を高めていこうとしてなかなかうまくいかず、紆余曲折の結果、たどり着いたのが「対話」であった。現在、社内でともにこの活動を推進する小西勝巳氏が具体的な取り組みについて紹介するが(P32~)、ここでは私の経験から、「対話」の有効性について述べたい。さて今日ほど、組織において対話が必要とされたことはないだろう。質の高い「対話」の有無は、組織の業績だけでなく、継続的発展に大きな影響を及ぼすと私は思っている。会議の方法を例に考えてみると、かつての組織では「議論」ばかりが行われていた。経済成長期には、明確で短期的な課題に対して、限られた期間内で正解を重ねていくことが求められた。そんな時代には、「対話」よりも「議論」のほうが効率的で、その結論に全員が乗って走れば、全員が豊かになれた。しかし今や時代は正解なき時代に変わり、課題や目標から自分たちで「答え」を創出していく必要が生じてきた。対話が注目されるようになったのは、「これまでのやり方ではダメだ」という暗黙のコンセンサスが、現場にも経営にも共有されてきた影響もあるだろう。