第7回 これから不足する人材と新たなビジネスチャンス 菊池健司氏 日本能率協会総合研究所 MDB事業部 部長
経営や人事を担う人材にとって、ビジネストレンドの把握は欠かせない。
1日1冊の読書を20年以上続ける読書のプロが、ビジネスを読みとく書籍を紹介する。
足りないIT人材・AI人材
IT 関連投資や情報セキュリティーの需要の増加などを背景に、IT系の人材不足が大きな課題となっている。AI、IoTによる時代の進化はその流れに拍車をかけているが、実際にその人材不足に対応できていない、もしくは対応が遅れている企業は少なくない。
平成28年には経済産業省がIT人材の不足数について、中長期での予測を行っている※。少し前の推計になるが、そのなかでは2019年段階では約27万人、2030年には実に約59万人が不足するとされている。
IT人材の採用・育成は産業界にとっても個別企業にとっても重要なテーマであり、早期に手を打つに越したことはない。個人的にはAI 人材はもちろんだが、データ分析人材の不足に憂いを感じている。
それ以外にも予想される “不足人材”
ただ、この国には他にも明らかに足りていない人材がある。たとえば、フューチャリスト(未来予測人材)。各企業がこぞって未来探索セクションを新設するトレンドは数年前から始まっているが、フューチャリストの不足感は否めない。
私のところにもよく「未来予測はどのような手法で行えばよいのか」という質問が寄せられるのだが、さすがに一朝一夕でそのスキルが身につくわけではない。世に出ている様々なデータを読みとく眼力、政治・経済・社会・テクノロジーの変化から未来を想起する能力を高めていく必要があるのだ。
そして実はこれから重要となるのが「掛け算思考」「アナログ思考」をもつ人材である。
今後、日本は異業種合併の時代を迎える。ある業界とある業界が一緒になり、新たな産業を構築する。そうなると産業構造も顧客も変化していく。また、デジタルが進化すれば、逆にアナログ思考、人間ならではのエモーショナルも踏まえた思考ができる人材が重要となる予感がする。
ここまでの流れを踏まえて、これからの人材を考えるうえで参考にしたい書籍を分類すると以下となる。
①IT人材関連に言及した書籍
②未来思考が学べる書籍