第6回 「令和」時代に突入 ビジネスモデルはどう変化するか 菊池健司氏 日本能率協会総合研究所 MDB事業部 コンサルティングサービス部 部長
経営や人事を担う人材にとって、ビジネストレンドの把握は欠かせない。
1日1冊の読書を20年以上続ける読書のプロが、ビジネスを読みとく書籍を紹介する。
堺屋太一氏の洞察力に学ぶ
日本を代表する作家である堺屋太一氏が2019年2月にお亡くなりになった。心よりご冥福をお祈りしたい。堺屋氏といえば、かつては経済企画庁長官を務め、大阪万博の企画や「団塊の世代」というビジネスキーワードを生み出した方としてもよく知られている。
今回の訃報を受けて、『平成三十年 上・下巻』(朝日文庫/2004年初版)を読み直し、あらためて、その素晴らしいとしか言いようのない未来探索力と洞察力に感服させられた。報道によると、生前は「このまま何もしないと日本は世界で50位、60位程度のランキングの国家になってしまう」と危惧されていたそうだ。このコメントを真摯に受け止め、平成に代わる「令和」の時代を乗り越えていきたいものである。
さて、新時代を迎えるにあたり、注目すべきポイントはいくつもある。今回は、そのなかのひとつ「ビジネスモデルの転換」について触れたいと思う。
観光ビジネスにより産業構造が変化
2030年には、市場規模において「観光ビジネス」が「自動車ビジネス」を凌駕する―。そう歴史的な転換点を迎えることが予想されている。自動運転による世のなかの変化も劇的に違いないが、ふと冷静に考えると世界最大市場に成長する観光ビジネスには、どの企業も注目せざるを得なくなるだろう。
まだ10年以上先の話と思われるかもしれないが、10年というのはおそらくあっという間である。こうした大きな流れを背景に、既存の産業構造が大きく変わっていく。これからの時代はビジネスモデルの変化と異業種間の合併や連携が相当進んでいく予感がしてならない。
こうした流れを読みとくために押さえておきたい書籍について分類しておこう。
① 今後の観光ビジネスに関連する書籍
② 今後の自動車ビジネスに関連する書籍