CASE2 ソニー 自分のキャリアは自分で築く 社員の自主性を生かす風土と 「社内募集」のしくみ 大塚 康氏 堀田綾子氏 ソニー 人事センター
社員のキャリアの選択肢を拡げ、自主的なキャリア形成を促すしくみのひとつが、社内公募制度だろう。
ソニーでは約50年前から「社内募集」という名称で公募制度を導入し、2015年には、より社員のチャレンジにつながる制度にリニューアルした。
具体的な制度内容と、その土台にある「自律的にキャリアを築く風土」について聞いた。
社員が活躍できる場の拡大
ソニーの「社内募集制度」には50年を超える歴史がある。スタートしたのは1966年、旗振り役は創業者のひとり、盛田昭夫氏だった。
「試用期間は、会社に向いているか皆が選ぶ期間でもある。合わないと思ったら早く辞めた方がいい」
盛田氏は、入社式の初日に新人に向かってそう話したという。その言葉からも、社員の自主性や自律的なキャリア開発を促す同社の風土がうかがえる。
「当社には『自分のキャリアは自分で築く』という考え方が根づいていて、社内募集制度はその考え方がベースになっています。いまや社員にとってなくてはならないほど浸透しており、累計の利用者数は7,400人以上。年間200~300人がこの制度を利用して異動しています」(人事センターEC人事部統括部長の大塚康氏)
同社は2015年、この社内募集制度を大幅にリニューアルした。背景にあったのは、ソニーのDNAであり力の源泉でもある「『新しいことにチャレンジする』というマインドをもっと尊重したい」という思いだった。
「当社では2014年までに構造改革が完了し、2015年から成長と投資のフェーズに移りました。新しい挑戦を始めたり、分社化を進めるなかで、人事のしくみも変えていく必要があったのです。『挑戦する』という社員のマインドを大切にし、人材がソニーグループ内の様々な場所で活躍できる環境を整えるため、加えて適材適所の人材配置による組織強化や人材育成を行うという目的もあり、制度を改革することになりました」(大塚氏)
自主性を生かす5種類の施策
旧制度は公募制で、人材を要する部署の求人に希望者が応募するしくみだったが、リニューアル後は、これに新たな制度が加わった。現在運用されている5種類の施策を紹介していこう。