CASE 2 松田産業 自己を知ることを成長の起点に 3年目社員の基礎固めにアセスメントでフィードバック
「地球資源を有効活用し、業を通じて社会貢献すること。」を企業理念に掲げ、貴金属・環境・食品の3事業を展開する松田産業。
同社では、入社3年目を迎える社員の「3年目研修」に360度評価とTA(交流分析)理論ベースの診断を活用し、本人へのフィードバックを重視した育成を行っている。
● 背景 フォローアップ研修を毎年実施
松田産業の創業は1935(昭和10)年。写真フィルムの現像で生じる廃液から銀を取り出す事業と、当時マヨネーズ工場で廃棄されていた卵白を食材のつなぎとして利用する事業が始まりだった。その後、貴金属のリサイクル、産業廃棄物の回収・処理、食材の仕入れ・供給という3本の柱で事業を展開。リサイクルニーズの高まりと共に成長を遂げ、それぞれの分野で確固たる地位を築いている。
「もともと社員の育成はOJT中心で、仕事を通じて、お客様に揉まれながら成長する傾向が強くありました」と話すのは、人事部人材開発課課長の権並正嗣氏である。
「しかし、そればかりでは仕事の基本や理論を知らないまま成長し、応用の利かない社員になりかねません。また、せっかく採用できた優秀な人材のさらなる成長を促し、リテンションを図るためにも、“松田産業の人間”として育成していくことが大事だと考え、十数年前からOff -JTに力を入れるようになりました」(権並氏、以下同)
同社が注力するOff -JTの1つが、新卒者が入社してから3年間、年度末に毎年行うフォローアップ研修(「中堅社員基礎研修」)だ(図1)。その目的を、権並氏は次のように語る。
「当社では若手社員に対しては、入社後の3 年間で基礎教育を終え、一人前の社員として“卒業”させるという方針で育成を行っています。ただ、その最初の3 年ほどというのは、仕事に没頭し過ぎて現在地が見えづらい状態になりがちです。そこで、各職場に散らばっている同期の社員が一堂に会して自分の現在の位置を確認し、不足する部分を補い、伸ばしていくための機会にすべく、毎年実施しています」
● 狙い コミュニケーション力の向上
3度のフォローアップ研修のうち、2年目の年度末に行う「3年目研修」の中でアセスメントを実施している。研修の目的は、次の3点だ。
1.期待されている役割を再認識