CASE1 中日本高速道路 セルフ・キャリアドックを導入 社員の自律的なキャリア形成につなげる 総合的なキャリア開発支援 岩田貴之氏 中日本高速道路 総務本部 人事部 人財開発チーム チームリーダー
2005年に日本道路公団の分割民営化により誕生したNEXCO 中日本。
キャリア開発支援を人財育成の4つの視点のひとつと位置づけ、キャリア開発研修やセルフ・キャリアドックといった取り組みを精力的に行う。
具体的な内容と成果について聞いた。
自律的なキャリア形成が必要な理由
NEXCO 中日本では、「安全を最優先にし、自ら考えリーダーシップを発揮できる社員を育成する」ため、人財育成マスタープランを定めている。なかでも社員の「キャリア開発支援」は、「自律型人財の育成」「組織能力の強化」「専門人財の育成」と並ぶ、人財育成の4つの視点のひとつとして、重視してきた。
「キャリア開発とは、自分の動機や価値観、能力などを問いながら、より良い“仕事を中心とした人生”となるよう、多様な活動を自律的に行い、自己実現を図っていくことであると定義しています。弊社では人財育成マスタープランに基づいて、キャリア開発研修などを体系的に整備し、社員の自律的なキャリア形成を支援しています」
そう話すのは、人事部人財開発チームのリーダーを務める岩田貴之氏。
人生100年時代、仕事以外の時間の過ごし方にも注目が集まるなかで、“仕事を中心とした人生”としているのには理由がある。
「弊社は、他社に比べると人財の流動性が低く、入社から定年まで働き続ける社員が多い会社です。それはつまり、社員にとってNEXCO 中日本で過ごす時間が人生のなかでも非常に長く、大きな意味をもつということを示しています。そのことを念頭に、自身のキャリアについてしっかり考えてもらいたいという思いを込めて、あえて“仕事を中心とした人生”としているのです」(岩田氏、以下同)
同社では、求める社員像の具現化に向けて、社員に対して「キャリアビジョンを描く」「エンプロイヤビリティを高める」「チャレンジ精神を醸成する」「自己投資を習慣化する」ことを求めている。自分自身のキャリアに責任をもつことや、世のなかの変化や感覚を強く意識し、高い目標に向けてストレッチを図るなど、意識面の変革にフォーカスしているのが特徴だ。
「自律的なキャリア形成には、自ら内省し、気づき、行動することが不可欠です。そのような内省と気づきの機会を意図的につくっていこうと、2011年度から研修という形でキャリアについて考える機会を提供しています」