OPINION3 グローバル化やテクノロジーの進展はチャンス 自分の人生をデザインするため 個人がすべきこと 石倉洋子氏 一橋大学 名誉教授
人生100年時代に、個人はどのようにキャリアを築いていくべきなのか。
大学教授や多数の企業の社外取締役を務め、ダボス会議などでもグローバルに活躍する石倉洋子氏は、まさに自らの力でキャリアを拓いて来た先駆者。
いま、個人がすべきことについて、自身の経験を踏まえて語った。
「個人」の時代の到来
「キャリア=仕事のイメージでとらえている方が多いかもしれませんが、いま私たちに問われているのは、自分の人生をどうデザインしていくのか、人生をどう生きるかということなのです」
そう話すのは、一橋大学名誉教授の石倉洋子氏。グローバル化やテクノロジーの発展により、恩恵を手にするのは個人だと強調する。
「いまは個人で勝負できる時代です。一人ひとりが、自分の内なる声に耳を傾け、やりたいことや好きなことをすることが、充実したキャリアにつながっていくのです」(石倉氏、以下同)
石倉氏自身、大学卒業後フリーの通訳を経て、ハーバード大学大学院で日本人女性初の経営学博士を取得。経営コンサルタントや大学教授として活躍するなど多様な経験を積み、現在は個人で活動している。
とはいえ、そもそも「何が好きなのかわからない」「やりたいことがあってもどこから手をつけていいかわからない」という人は多い。
「それは『完璧の呪縛』にとらわれてしまっているからではないでしょうか。完璧の呪縛とは、完璧にできるようにならないうちは何もできない、どこかに完璧なやり方や正しい答えがあるはずだと思い込んでいる状態です。でも、それは難しく考えすぎです。大切なのは『あなたは何をやりたいのか』『好きなのか、嫌いなのか』という、シンプルなこと。まずは気楽に、自分ができることから始めてみればいいのです」
失敗からやり直せるのも100年時代のメリット
石倉氏が勧めるのは、「好きそう」なものからどんどん体験してみることだという。
「好きなことはやっていて楽しいし、いくらやっても疲れないですよね。上達するのも早いです。反対に、好きそうだと思ってやってみたけれど、楽しくないということもあるでしょう。いずれにせよ、やってみないとわからないのです」
そうして行動して、たとえ失敗したとしても、「何度でもやり直せるのが人生100年時代のメリット」だと石倉氏は話す。