日本・海外のグローバル人材に聞く! プライスウォーターハウスクーパース/TOTO/YKK/アサヒビール/イケア・ジャパン/ガイアックス
日本のグローバル人材に聞く!
日本企業の多くがグローバル化を進めている。だが、実際に現地に行き、異文化の中で海外の人とともに働くのは、個々の社員である。そうした状況に置かれた時、個々人は、何を日本人の強みと感じるのか。ここでは、海外で働いた経験のある日本人3名に、日本人の長所短所、そしてグローバル人材として求められることを聞いた。
プライスウォーターハウスクーパース
「英語は下手でも人柄が良い」日本人はもっと愛される
世界に通じる日本人の誠実さ
社会主義国家を含む欧州、アメリカでの海外勤務の経験から、グローバルでビジネスを進めるうえでは、「誠実さ」が最も重要な要素だと感じています。これは多くの日本人がすでに持っている資質です。
いうまでもなく、ビジネス上では人間vs人間の信頼関係が肝心。誠実であるからこそ謙虚になれるし、謙虚さは海外でも「人間の美徳」の1つと考えられています。そんな日本人の「誠実=謙虚さ」は海外でも高く評価されています。
ところが、実際は多くの日本人がその魅力をうまく表現しきれずにいるんです。
謙虚が美徳ではないケース
そもそも、自己主張が苦手な日本人が多いのは、日本企業のヒエラルキー構造が1つの要因ではないでしょうか。会議でも、思いつきの発言は許されず、自由に思考し、企画することが難しい環境だといえます。場合によっては、上司や会社に気を遣い過ぎてしまい、「自分が我慢すればいい」と忍耐強さを発揮してしまう。
海外では、忍耐強いことも美徳ですが、会社が不利益を被るかもしれない誤解を、「上司に恥をかかせたくない」「私が間違っていたら恥ずかしい」という理由で我慢することはあまりないと思います。
また、グローバルな場で日本企業の競争力を高めるには、自分の意思を論理的に相手に伝える力が求められます。たとえば「その製品は日本では売れない」という表現では、海外には通じない。売れない理由を日本の社員全員はわかっていても、当然、海外と日本では商習慣の違いがありますから、そこは日本人の手前バカバカしくても丁寧に説明する必要があります。この場合、論理的に説明しないのは“謙虚”ではなく“失礼”です。
語学で勝とうとせず、人格で勝つ
日本人の思い描く「普通」の振る舞いは、グローバル環境では十分「誠実で謙虚」だと思われます。だから、ありのままの自分で向き合っても、本当に多くの人が十分に魅力的で、愛されると思いますよ。「恥をかくのが嫌だから英語はしゃべらない」とか、「自分の意見に自信がない」という考えはやめて、一歩踏み込んだ人間同士の会話をしてほしいです。あまり難しく考える必要はありません。たとえば、お天気の話だけで場を濁すのではなく、日本で普通に同僚に話しているようなことを話せば、海外でもどこでも自然と親密な関係を築けます。日本人同士でも、会えばお天気の話しかしない退屈な人と親しくなりたくはないでしょう。
人間的に親しくなれば、生まれながら誠実で、謙虚なあなたの人柄も理解されやすくなるでしょう。その時に、特別に語学が堪能でなくてもいい。語学のパーフェクションより、人格の強みで勝ってほしいと思います。