第5回(最終回) 2018年のサミットを振り返る 今村優之氏 宇野聡美氏 中原孝子氏
米国の人材・組織開発の専門組織ATDの日本支部ATD-IMNJ が、海外の新潮流を変革へのヒントとして解説します。
最終回の今回は今村優之氏、宇野聡美氏、中原孝子氏が集まり、2018年のサミットを振り返りました。
EUで見えた日本の課題
宇野
2018年10月にアムステルダムで開催された「2018 ATD EuropianSummit」では学び方や働き方の変化について、現在と未来をとらえながら議論していましたね。
中原
今回、よく話題に上がったキーワードはジェネレーションダイバーシティでした。EU では世代を超えて多様な働き方が広がっていますが、特に失業率の深刻な若年層でフリーランサーになる人が増えています。サミットでは、その傾向を身近な問題としてとらえていました。
宇野
ミレニアル世代がパネラーとなるセッションが印象的でした。年配層がミレニアルを語るのではなく、ミレニアル自身が等身大の言葉で話す。その試み自体が面白かった。
EU のダイバーシティは、どの世代にも多様な人がいるという前提があります。ジェネレーションダイバーシティについても「画一的な答えはない」という意識を感じました。
今村
「ダイバーシティはファクトだがインクルージョンはストラテジー(戦略)だ」という言葉もありました。ダイバーシティは放っておいても進みますが、インクルージョンは意識的に進めないとうまくいかない。いかにインクルージョンしパフォーマンスを上げるかは戦略です。
中原
EU と比べ、私たち日本のL&D(人材開発)は、ミレニアル世代の研究が進んでいないと感じました。彼らがキャリアを積み上げられる環境づくりについて、もっと真剣に議論すべきですね。