ASTD STADAカンファレンスレポート 人材育成分野でも、アジア諸国が世界を牽引する日はそう遠くない
2012年10月31日から3日間、シンガポールでHRカンファレンス、「ASTD STADA Asia Pacific Conference 2012」が開催された。
“Developing Human Capital in the Asia Pacific Economy”というテーマのもとで開催されたこのイベントでは、人材育成で先進する欧米のノウハウを貪欲に吸収しようとするアジア・パシフィック諸国の人々の“勢い”が感じられた。
カンファレンスで議論されたテーマとともに、当日の様子を報告する。
欧米とアジアのコラボはどう始まったのか
STADA(The Singapore Training and DevelopmentAssociation)は1972年に設立された、人材育成のプロフェッショナルからなる組織だ。彼らがめざすのは、アジアパシフィック地域の「人材開発と生涯学習におけるベストプラクティスが集約する機関」――”TheLeading Centre for Best Practicesin Human Capital Developmentand Lifelong Learning”となること。そして、それを実現するために、STADA CEOのロバート・ヤオ(Robert Yeo)氏がASTDに打診をしたことをきっかけに開催が決まったのがこの会であり、今年で2回目となる。
カンファレンス初日にヤオ氏と話をする機会があった。こう熱く語ってくださったのが印象的だった。「今や世界を牽引する市場となりつつあるアジア新興国が、この分野における先手を担ってきた欧米諸国から能力開発のノウハウを貪欲に学び、“Acquiring Knowledge(知識の習得)”を通して人材の底上げを図ることは必須です。それと同時に、知識を習得した層がその知識を実務に活用する――“ApplicationKnowledge(知識の活用)”を実践することも重要であり、これをして初めて、“continue to grow anddevelop(継続的に成長する)”ことができるのです」と。「その成長のために、どの国が重要なのでしょう?」と聞く私に対し、「どの国がどうこうという時代はもう過ぎているのです。大切なのはお互いに協力(collaborate)し、”我々(us)”としてどう能力を発揮していくかですよ」と話してくれた。
ヤオ氏が実現したASTDとの協力関係。そこに、“今や私たちのビジネスパートナーはグローバル環境にいるのだ”という彼のメッセージを読み取ることができる。
~基調講演とキーワードから~アジア・パシフィックが抱える課題
カンファレンスを通して、アジア・パシフィック地域が抱える課題をキーワードで示すとすれば、
「クリエイティビティ&イノベーションの重要性」
「IT技術が変える教育」
「Generation Yへの対応法」
「(多様な文化)×(多様な世代)=複雑化する世界における人材活用」といった辺りが見えてくる。
3日間それぞれにアレンジされていた基調講演は、それらの課題を適宜に網羅していたように見受けられた。とはいえ、米国から招聘されたスピーカーからのメッセージは当然、アジア地域に特化しているものではなく、地球規模で議論されているテーマであった。そのエッセンスを少しずつ紹介する。