CASE3 「専業禁止」から考える組織 エンファクトリー|組織と個人が「相利共生」 複業で『生きる/活きる力』を培う 加藤健太氏 エンファクトリー 代表取締役社長
2011年の創業以来、「専業禁止」のポリシーを打ち出しているエンファクトリー。
専業禁止は、組織や個人にどのような変化をもたらしているのだろうか。
代表取締役社長の加藤健太氏に話を聞いた。
人材ポリシーは「専業禁止」
「当社では2011年の創業以来、『専業禁止』を打ち出しています。ただし、あくまでこれからの生き方、働き方を模索するための人材ポリシーなので、本当に専業を禁止しているわけでも、パラレルワークを義務づけているわけでもありません」
そう話すのは、エンファクトリー代表取締役社長の加藤健太氏。「専業禁止」のポリシーを掲げた背景には、多様性、不確実性が増していく社会において、個人はどう適応していけばいいのか、そして組織はそういう個人に対してどういう場であればいいか、という疑問、課題意識があったという。
「技術革新が進み、健康寿命も延びていくなかで、個人としての活躍の機会や選択肢は大きく広がりました。一方で、経済や社会のしくみは時代の変化に追いついておらず、制度疲労を起こしているのが現状です。今こそ、組織も個人も考え方をアップデートする必要があるのではないでしょうか。
当社では『生きる/活きる力』といっているのですが、これからの時代には一人ひとりが自分の人生を自ら考え、デザインすることが必須になります。そして、そのような“人”を軸にした人的関連資産こそが、これからの組織に持続的な収益や成長をもたらすことになるでしょう。地域、組織、社会のあらゆる『もの・ひと・こと』をつなげ、『生きるを、デザインする』事業を行っている当社も、個人がもつ価値観を共有し、自立したプロとして連携していける組織でありたいと考えています」(加藤氏、以下同)
つまり、専業禁止というのは「他の仕事をしていい」という単純な話ではなく、これからの時代に組織と個人が「相利共生」の関係を続けていくための1つの挑戦なのだ。
ルールは「オープン化」だけ
同社では現在、社員の約6割が複業を実践しており、2018年度には社員の複業の年商合計額が1億円を超えた。複業内容を見てみると、ハリネズミカフェの運営や語学留学Webメディアの編集長、コーヒー豆の栽培輸出など業種も形態も様々だ。
実は、専業禁止におけるルールは1つしかないという。それは「オープンにする」こと。