CASE2 「パルテノン型組織」から考える組織 SAPジャパン| 「パルテノン型」が変化に対応 目標の共有とリーダーシップの分散が ビジネスを担う組織には不可欠 南 和気氏 SAPジャパン 人事・人財ソリューションアドバイザリー本部 北アジア統括本部長
SAP ジャパン人事・人財ソリューションアドバイザリー本部北アジア統括本部長の南和気氏は、
大規模かつグローバルにビジネスを行う企業にフィットする組織形態について
持論(パルテノン型組織)をもち、自組織内でも運営している。その考え方と本質を聞いた。
組織の成長は3段階
人事・人材戦略のスペシャリストであるSAP ジャパンの南和気氏は、昨今の組織形態に関する注目の高さをこう分析する。
「グローバル化とイノベーション、この2つを実現するために、人と組織をどのようにマネージすればいいかが、多くの企業にとって課題になっています。人の場合は目に見えるため、グローバル人材やダイバーシティなどの切り口でとらえやすいですが、こと組織となると、目に見えないだけにとらえどころがない。そこで、何らかのフレームワークやモデルを用いることで、環境変化に即した組織の在り方を捉えたいというニーズがあるのだと思います」(南氏、以下同)
南氏自身は、組織は①ルール型組織、②リーダー型組織、③パルテノン型組織の3段階で成長するととらえ、提唱している。
ルール型組織とは
ルール型組織とは、組織運営がルールによって成り立っている組織の形である。企業のなかでは、経理部や法務部などが挙げられるという。
「これらの組織では、厳密なルールの下に業務が行われており、上司や担当者が代わっても結果が変わることはありません。ルールさえ明確であればいいので、運営しやすい組織形態といえるでしょう」
一方で、ルール型組織には2つのデメリットがある。1つは、ルールの質が組織の質を決めてしまうことだ。ルールに基づいて処理すれば、だれでも同じ成果を出せるため、個々人のパフォーマンスややりがいは無視されがちである。
もう1つのデメリットは、組織としての目標をもちにくいこと。ルールを守ること自体が目標となり、組織としての成長や目標達成を志向しないのである。
一番多いリーダー型組織
他方、皆で目標をもち、達成を目指す組織に適しているのは、第2段階のリーダー型組織だ。
目標を短期間で達成するためには、意思決定のプロセスを単純化する必要がある。そこで、皆で話しあうよりも、もっとも優秀な人がリーダーになって意思決定をしていくことで、目標を短期間で達成しやすくなる。