ART 日本美術家列伝〜江戸時代篇 懸命に自己の表現を模索した大器晩成型・与謝蕪村 矢島 新氏 跡見学園女子大学 教授
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与謝蕪村はまず俳人として有名だ。歴史人名辞典の記述を見ても、俳人としての事績が画業に優先している。だが、かつて蕪村はまず画人として知られていた。今、もし蕪村の絵が俳句の陰に隠れているとしたら、その情況を容認するわけにはいかない。美術史を専門とする筆者の眼が公平であるとは思わないが、俳句における蕪村が芭蕉に次ぐ二番手の存在であるのに対し、蕪村の画業のいくつかは、江戸時代絵画の頂点に立つものであると確信するからだ。
前回紹介した池大雅が“神童”と呼ばれた早熟の天才であったのに対し、彼と並び称される蕪村は“大器晩成”の人であった。実際、40代はまだ修業の時期であり、懸命に自己の表現を模索している印象がある。