HR TREND KEYWORD 2019│テクノロジー│HRテクノロジー アドテクや生体データも活用 働きがいをもたらすHRテクノロジー 岩本 隆氏 慶應義塾大学 大学院経営管理研究科 特任教授
2015年ごろから徐々に広がりを見せるHRテクノロジー。企業規模を問わず、経営層も関心を寄せつつある。最新トレンドと今後の展開を、慶應義塾大学大学院の岩本隆氏に聞いた。
異分野のテクノロジーがHRに
HR テクノロジー(HR テック®)の存在感が、ここ数年高まっている。産業構造の変化や、戦略人事が重要視されるようになってきたことなどが背景にあるだろう。戦略人事の実践にタレントマネジメントは不可欠であり、データ分析などでテクノロジーの役割が期待される(図)。
コンピューターやネットワークの進化も大きい。ノートパソコンで大量のデータ解析が可能となり、ソリューションや情報管理のクラウド化は運用コストを大幅に削減させた。かつてに比べ、テクノロジーが身近になりつつあるのだ。
「HR テクノロジーについてユーザーの関心が高いのは、採用、育成、エンゲージメントに関するもので、大手企業を中心に普及が広がっています。また、中小企業もマンパワーが限られていることから、導入に積極的ですね」(慶應義塾大学 大学院経営管理研究科 特任教授 岩本隆氏、以下同)
ここで、岩本氏が注目する最新のHRテクノロジーをいくつか紹介しよう。
① CMS 機能×アドテクでターゲティングワンストップの採用ツール
リクルーティングやエントリー管理など、採用活動に特化したHR テクノロジーは人気がある。近年は川上から川下までまるごとカバーするものが開発され、なかにはWeb マーケティングに強いものもあるという。
「Cookie(Web 閲覧情報のこと。ユーザーの関心や話題などを知るのに利用されることが多い)解析により、ユーザーの通う大学や学部、学年まである程度わかるそうです。また金融機関の採用ページを見ている人は、商社への関心も高いそう。そのような傾向を踏まえ、ほしい人材に対し自動的に採用広告を配信する機能が搭載されています」
このほか、CMS(専門的な知識を持たなくてもWebページを作れるしくみ)やアド(広告)テクノロジーなどの機能が発達したソリューションも増えている。採用コンテンツを内製でき、効率化を図れるので、コストパフォーマンスも高いという。