第2回 AIは、世の中の何を変えていくのか 菊池健司氏 日本能率協会総合研究所 MDB事業部 コンサルティングサービス部 部長
経営や人事を担う人材にとって、ビジネストレンドの把握は欠かせない。
1日1冊の読書を20年以上続ける読書のプロが、ビジネスを読み解く書籍を紹介する。
現代は、先が全く想定できない
仕事柄、多くの企業の方とお目にかかる機会がある。最近、よく耳にするのが「昨年くらいまでは、テクノロジーの進化も含めてある程度先が想定できたが、今年に入ってからあまりにも流れが速過ぎて、未来を見通しにくくなっている」という内容の話である。
先を想起しにくくさせられている要素の1つが「AI の進化」であることは間違いないだろう。AIは我々に、マインド面も含め大きな影響を与えている。
人材育成担当者も、AIにより世の中がどう変化していくのかを注視しておかないと、採用していく人材像に狂いが生じる。
特に人が担っていたどんな仕事がAI に代替されていくのかは見極めのポイントでもある。単純労働がAI に取って代わられるという説もあるし、実は知的労働こそが代替されるという話もある。ちなみに、私は両方の視点から考えておいたほうがよいと考えている。
AIはあっという間に浸透する
まだ記憶に新しいところだが、2015年12月に英オックスフォード大学と野村総合研究所の共同研究により公表された、AIによる職業代替可能性に言及した調査結果は、世の中に衝撃を与えた。10~20年後に日本の労働人口の約半分がAIやロボットで代替可能になるという、あの調査結果である※。
タイムマシンに乗って未来へ行くことができたなら、我々は「2017~2018年頃は労働力不足なんていう時代もあったね」などと振り返っているのだろうか。
AI は今後、社会基盤として急激に、我々の想像よりも早く世の中に浸透していくと思う。定期券が電子化され、Google を当たり前のように使い、スマートフォンを手放せなくなったように……。
AI 関連の書籍の特徴は、大きくは以下の分類となる。
①AI の進化(技術面含む)