J.H.倶楽部

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Learning Design 2018年09月刊

特集1│Chapter1│識者の視点~出る杭の育て方 OPINION 2  大切なのは全体最適で考えること 本質を見極める人材が 新たな価値を生み出す

続いて紹介するのは、「出る杭」育成の方法論である。
出る杭人材を多数輩出した元祖企業ともいえるソニー出身で、現在は出る杭を育成する研修を展開する横田宏信氏に、出る杭の育て方を聞いた。

Profile
横田宏信(よこた ひろのぶ)氏 
ソスピック株式会社 代表取締役

慶應義塾大学経済学部卒業後、1982年ソニー入社。成長期の同社の中でもひときわ出る杭ぶ
りを発揮し、世界初の本格SCM 革新を成功させた。
退社後は、SAPジャパン、PwCコンサルティング等を経て2004年にソスピックを設立。
出る杭研修や講演等を行っている。著書に『出る杭を育てる時代』『ソニーをダメにした「普通」という病』(出る杭の杜)など。

[取材・文]=谷口梨花

出る杭人材はイノベーター

「『出る杭』はイノベーターです。常識を疑い、故にしばしば常識破りの変化、すなわちイノベーションを起こすことができる人なのです」

そう話すのは、ソニー出身の横田宏信氏。在籍中は自身も“出る杭”として活躍していた。ちまたでは、出る杭は奇人変人、生意気などと言われているが、横田氏の定義はそれらとは大きく異なる。

「ソニーは1969年の採用広告に『〈出るクイ〉を求む!』というキャッチコピーを掲げていました。つまり、今から50年ほど前に、『出る杭』が成長の源泉であることが分かっていたのです。だからこそ、20世紀最大のヒット商品とされるウォークマンをはじめ革新的な商品を生み出すことができたといえます」(横田氏、以下同)

そのような出る杭が、「今こそ求められているときはない」と横田氏は言う。

「ソニーの事例からも、出る杭が大きな経済価値を生むことは明らかですが、それだけではありません。出る杭とは、狭い常識にとらわれるのではなく、全体最適を考えて常識破りの変化を起こすことができる人材のことです。したがって、世界経済が低迷に向かい、閉塞感で覆われている今こそ、かつてないほどに出る杭は求められているというわけです」

全体最適の思考を身につける

横田氏によると、出る杭、つまり全体最適で物事を考え、イノベーションを起こすことのできる人材は、下記の方法で地道に育てていくことができるという。

●本質とは何かを考える

「出る杭は、本質を知ろうとする人間です。したがって、出る杭を育てるには、まず彼らに本質への強い好感を持たせなければいけません」

そのためには「本質とは何か」を徹底的に考えさせることが大切だという。

「本質とは普遍的なものであり、私たちはそれに基づき思考をし、行動します。つまり本質とは、私たちの思考と行動の基盤となるものなので、誰にとっても、どんな場面でも重要です。しかし、それほど重要でありながらも、本質とは何かが分かっていない人は多いのです」

本質が分かっていないから、従来のやり方を踏襲したり、既存のものの真似ばかりをしてしまうのだ。まずは、自分は本質について何も知らないと気づくことがスタートだと横田氏は話す。

●知識や考え方を再構築する

本質と同様、曖昧なまま、分かっているような気になって使っている言葉がありはしないだろうか。そのような言葉についても、実際は理解していなかったということを認識し、言葉の定義を明確にしていく。

「例えば『価値とは何か』『ビジネスとは何か』『企業とは何か』など、徹底的に考える。そうして言語化することで、言葉の持つ輪郭や境界線をはっきりさせていくのです。言葉の根本の意味にこだわる習慣をつけるという意味でも、有効です」

一つひとつの言葉の意味を明確にしていくということは、既存の知識や考え方をいったんスクラップし、新たに構築するということにもなる。つまり、知識や考え方全体の根本的な再構築を行うということ。これも出る杭を育てるためには有効なのだ。

●対話をする

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