第2回 成果を上げるチームづくりの秘訣 青島未佳氏 産学連携機構九州 総合研究部門 部門長
先行きが不透明で人材も働き方も多様化する現代でも、業績を上げるには「チーム力」が欠かせない。
九州大学と九州大学TLOが行ったフィールドリサーチを元に、チーム開発について紹介する本連載。
前回の「高業績チームに備わる“4つの機能”」に続き、今回は、この4つの機能をチームに根づかせるための方法を紹介する。
●高業績チームが備える機能
前回お伝えした通り、高業績チームには①コミュニケーション(心理的安全)、②目標共有(ビジョン)、③相互協力(コラボレーション)、④チーム学習(ラーニングオーガニゼーション)の4つの機能が備わっている(図1)。
では、チームがこれらの機能を備えるには、どうしたらいいのか。今回調査をした高業績チームへのインタビュー結果を踏まえ、どの組織でもすぐに実践でき、効果が期待できる取り組みを紹介したい。
●「コミュニケーション」をつくる
前回、チーム内で何でも気兼ねなく言い合えるというコミュニケーションの基盤をつくるためには、リーダーがメンバーに興味を持ち、信頼することが必要だと述べた。ここで大切なのは、信頼を目に見える形や行動で表すこと、そしてコミュニケーションの量を増やし質を高めることだ。そのために特に有効なのは「適切な頻度で会話をする」「承認をする回数を増やす」ということ。これはリーダーとメンバーの信頼関係のみならず、メンバー同士の信頼関係の構築にも有効である。しかし、多くのチームはこれができていない。
(1)会話の量・頻度を増やす
人間同士の心理的な距離は、ある程度までならばコミュニケーションの量に比例する。コミュニケーションの量は多ければよいというものではないが、少なくとも必要な一定量は存在する。
一方で、メンバーを多く抱えるリーダーにとっては、限りある時間の中でその工数を捻出することはなかなか難しいだろう。この場合は、例えば週に1回1時間のミーティングを行うのではなく、1回5~ 10分のショートミーティングを毎日行うことをお勧めする。コミュニケーションの基盤ができていない場合は、頻度が多いほうがメンバーは“リーダーが自分のことを気にしてくれている”と感じることができ、双方の心理的な距離は近くなる。
(2)質のよい会話を行う
単にコミュニケーションの量が増えても、その内容がリーダーからの業務指示や指導に終始していては、チーム力の向上は限定的だ。メンバーが話しやすい風土をつくるためには、リーダーの“聴く”姿勢が大切である。話を聴かないリーダーに対しては、メンバーは「何を言っても大丈夫だ」「相談してもよい」といった心理的安全を得ることができない。
また、リーダーはメンバーに対して、「承認をする」「メンバーの相談に乗る」「メンバーの強みを引き出す質問をする」などメンバーの視点に立った会話を心掛けることが大切だ(83 ページコラム参照)。
なお、会話の質をチェックすることは難しい。そのため、質のよい会話のチェックポイントとして、「メンバーが時間の半分以上話している状態をつくれているか」ということをひとつの目安にしてほしい。