第48回 採用から育成まで、誰もが自分らしく輝ける組織へ 既存の枠組みにとらわれず誰もが働きやすい会社をつくりたい 浅見 あゆみ氏 三菱地所 人事部 採用・育成・DE&I推進ユニット ユニットリーダー
浅見 あゆみ氏
三菱地所が好調だ。2026年3月期決算 (連結 )は、営業利益が3,297億円、当期純利益が2,225億円と、ともに過去最高益になった。不動産デベロッパー業界を代表する企業ゆえに就活生からの人気が高いが、同社は2025年からインターン制度を廃止して、新卒採用の在り方に一石を投じた。この動きをリードしたのが人事部 採用・育成・DE&I推進ユニットリーダーの浅見あゆみ氏だ。浅見氏は一度退職後に出戻り・労組役員専従など、ユニークなキャリアを歩んできた。その経験を人事業務にどう活かしているのか、話を伺った。
[取材・文]=村上 敬 [写真]=山下裕之


自ら道を切り開いてきたキャリアの出発点
現在、浅見氏は人事部で、採用、育成、DE&Iという3つの領域を担当している。業務量は「4対4対2程度」(浅見氏)。重要性はどれも変わらず、それぞれに新しい取り組みをしているが、会社が浅見氏にとくに期待しているのはDE&I領域に違いない。というのも、浅見氏は女性社員のロールモデルがまだ少なく、多様な働き方も定着していなかった時代に、道を切り開いて自分らしいキャリアを構築してきた張本人だからだ。
浅見氏の子どもの頃の夢は国連で働くことで、大学時代には1年間のアメリカ留学も経験した。一方で、人の流れと街の変化を研究する「経済地理」を学ぶなかで、「自分は人と街が好きだ」と気づき、デベロッパー業界を志すようになる。長年抱いていた海外への関心と、街づくりへの思いの両方を満たせることから、海外事業を展開する三菱地所に入社。当時の人事担当者には「想像以上にアットホームで人に近い会社」との第一印象を抱いたという。
一度退職したからこそ見えてきたもの
最初に担当した案件は、宮城県仙台市の商業施設の開発・営業だった。テナントの区画決めや管理ルールの策定、さらにテナントへの営業など、業務は初めて体験することばかり。OJT中心の育成で、今のようなインストラクター制度等の体系化された環境では無かったが、浅見氏には合っていたようで、「既成ルールに縛られずのびのびさせてもらった」と当時を振り返る。
仙台市の案件の次は、東神開発に人事交流で出向。商業施設の運営を担当した。「デベロッパーは川上から川下までさまざまな人と出会える。自分の知らない世界がたくさんあって楽しかった」と刺激を受けた。
三菱地所に戻って商業施設の営業担当に。引き続き仕事は充実していたが、入社5年目に転機が訪れる。結婚、妊娠、流産を経験して、人生を見つめ直すタイミングが来たと感じて退職したのだ。

