第25回 乃村工藝社『台場ガーデンシティビル』(東京都・港区)
コロナ禍以降の変化を踏まえながらも、あえてニューノーマルの時代に、「リアルなオフィス空間の価値を高める」と宣言した乃村工藝社。
「リアルなコミュニケーション」と「未来の働き方」に主眼を置き、様々な試みを随所に具現化した、実験的なオフィスの概要に迫る。
[取材・文]=田中 健一朗 [写真]=山下裕之、乃村工藝社提供
「あえて使い方を決めない空間」を創出
「未来の働き方を創る」という考えの基、2021年、乃村工藝社に「健康」「実験」「ブランド」をキーワードとしたオフィス空間が誕生した。始まりは同社の働き方を考える協議会が発足した2016年にさかのぼる。同年からオフィス改革プロジェクトを牽引し続けてきた同社のプランナー/クリエイティブディレクターの乃村隆介氏は、現在に至るまでのオフィス改革について説明した。
「当社の『未来の働き方を創る』を実現するためには、用途が限定された従来のオフィス空間ではなく、“使い方は、あえて決めない空間”が必要だと考えました。当社はユニークな人材の宝庫ですから、社員同士が集まり、シナジーが生まれる場所をつくりたい。そこで、2018年に本社内に『RESET SPACE』(リセットスペース)をオープンさせました」
その後、コロナ禍でオフィス改革の計画は一度中断を余儀なくされたが、「誰が、いつ来ても何でもできる場所」、つまり、ある種の「公園」のような場所をつくるべく、2021年にグループ会社が拠点集約するのと同時に、隣接するビルの3Fにオープンしたのが「RESET SPACE_2」(リセットスペース2)だ。