第24回 会社を支える未来人材、そして経営人材について考える 菊池健司氏 日本能率協会総合研究所 MDB事業本部 エグゼクティブフェロー
経営や人事を担う人にとって、ビジネストレンドの把握は欠かせない。
1日1冊の読書を20年以上続ける読書のプロが、ビジネスを読み解く書籍を紹介する。
「未来人材ビジョン」から何を感じ取るか……
2022年5月31日、経済産業省が「未来人材ビジョン」を公表した。これは2021年12月から実施されていた「未来人材会議」の集大成である。ビジョン策定にまつわる問題意識や労働需要の推計、グローバルで戦う大企業の経営陣の意見も取り入れながら「これから求められる人材像」が提示されている。問題意識を国際的に比較すると、様々な項目で日本は順位が低く、課題が山積みだ。
特に日本が高度外国人に選ばれなくなったことは由々しき事態だと感じる。仕事の魅力を高め、海外の優秀な人材が入ってきて切磋琢磨できる環境づくりが望ましいだろう。本ビジョンの16ページに書かれている「4つの能力や姿勢」は重要なポイントだ。ぜひご確認いただきたい。
2050年というかなり先を見据えたビジョンだが、時代は一足飛びに変わるわけではない。2050年を意識しながら2030年を考え、これからの人材像を考えていくバックキャスティング的思考を忘れてはいけない。本ビジョンによる「デジタル化」「脱炭素化」という大きな構造変化は、人の能力等のうち「問題発見力」「的確な予測」「革新性」をより強く求めるようになってくるはずだ。私見だが、このビジョンの「行間」を読み解くことがとても大切だと感じている。
未来版「経営人材育成」を意識した人づくり
私はこれからの経営人材が有しておきたい重要な「力」は①不測の時代を乗り越えるための未来構想力、②業種を越えた発想ができる横断創造力、③課題を将来目線で冷静に見られる課題発見力、だと現時点では考えている。経営は生き物であるから、もしかするとまったく違う力が必要となる時代が早晩訪れるかもしれない。常にこれから求められる経営人材が持つべきスキルを研究しておく必要がある。私自身もライフワークとして引き続き考えていくつもりだ。
今回は、今号の特集テーマ「経営人材育成」にまつわる書籍を紹介する。
①経営人材について訴求した王道書籍
②日本の経営の変遷を知り尽くしたビジネスパーソンやコンサルタントによる書籍
③海外の有力著者によるマネジメント論・リーダー論書籍
④スーパー経営者兼イノベーターによる自伝・論考