第23回 新たな事業展開への期待 「起業家思考」で創造していく時代 菊池健司氏 日本能率協会総合研究所 MDB事業本部 エグゼクティブフェロー
経営や人事を担う人にとって、ビジネストレンドの把握は欠かせない。
1日1冊の読書を20年以上続ける読書のプロが、ビジネスを読み解く書籍を紹介する。
スタートアップにおける日本の野心的な目標
2022年度は、各企業が新たな事業展開への攻勢を強める年になりそうだ。日本では諸外国と比較するとまだまだ数が少ないとされるスタートアップや起業家も徐々に増えていく大切な年となるだろう。
日本経団連は、2022年3月15日、「スタートアップ躍進ビジョン~10X10Xを目指して~」を発表した。これは2027年度までに、日本のスタートアップ数を、今の10倍の約10万社に。そしてユニコーン数も今の10倍にあたる約100社にするという実に野心的な目標を掲げた。ユニコーンとは企業評価額が10憶ドル以上で、設立10年以内の未上場ベンチャー企業を指す。世界的に見ると、日本もスタートアップ・エコシステムの評価は徐々にではあるが高まってきている。日本は世界に冠たる社会課題先進国であり、実はチャンスが多い国でもある。スタートアップ庁の新設なども待望視されるなかで、この高い目標値の突破をおおいに期待している。
人材の観点でも起業家思考がトレンドに
スタートアップ経験者や「起業家思考」を持つ人材獲得競争が間違いなく激化するだろう。新たな仕事を創り出せる人材求む……という世界観である。入社時に「起業家思考」を叩き込む企業研修も増えると予想する。武者修行的な他社への期限付き移籍などもきっと増えていくだろう。
自分の業界周辺だけを理解しておけばよい時代はすでに終わったと感じる。今の世界情勢を見ていても“自分の常識”の外で、計り知れない事象がこれからも起こっていくのではないか、という気がしてならない。
今回は「起業家思考」を学ぶための書籍を以下の観点で紹介する。
①起業家思考を経験値から学ぶ王道書籍
②未来を創造するための鋭い視点が学べる書籍
③新たなビジネスの萌芽を切り口にこれからの学び方を教えてくれる書籍
④今の時代だからこそ読んでおきたい令和版「仕事の教科書」