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Learning Design 2020年03月刊

気づきのエンタ ART 日本美術家列伝 〜室町〜江戸時代前期篇 狩野派の牙城を崩した苦労人・長谷川等伯
前回ご紹介した狩野永徳が桃山画壇の東の横綱とすれば、西の横綱は長谷川等伯である。永徳が英才教育されたエリートだったのに対し、等伯は田舎の仏画師から努力を重ねて画壇の頂点に上り詰めた苦労人である。ほぼ同世代の両者は、実に対照的な生涯を歩んだ。
等伯は能登の中心都市七尾(石川県七尾市)に生まれた。幼くして地元の染物屋に養子に出され、仏画も描いた養父の元で絵師を志した。七尾周辺には、20代に描いた仏画や肖像画が相当数残されている。
プロフィール
跡見学園女子大学教授。東京大学大学院博士課程中途退学。渋谷区立松涛美術館学芸員を経て現職。
専門は近世を中心とする日本宗教美術史。
著書に『日本の素朴絵』(ピエ・ブックス)、『マンガでわかる「日本絵画」の見かた』(誠文堂新光社)など。
ゆるカワ日本美術史』(祥伝社)など多数。