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Learning Design 2020年03月刊

特集│OPINION 3 「健康=病気ではない」ではない 従業員の意欲と組織への愛着を生む 「ウェルビーイング経営」
「健康経営」という言葉が広まり、実際に取り組む企業が増えつつある。
だが、企業が目指すべき本来の「健康経営」にはまだ至っていないのではないか、と武蔵大学の森永雄太教授は指摘する。
従業員が仕事にやりがいを感じ、いきいき働くための健康経営について、話を聞いた。
「健康経営」に対する企業の4つの期待
企業が健康経営に取り組み始めた背景には、働くルールの変化がある。65歳、ないしは70歳くらいまで働くことが求められるなか、従業員の健康維持の重要性が高まってきたのだ。あわせて、企業が直面する課題、つまり健康経営に期待することとしては、以下の4点が挙げられる。
❶医療費の削減
医療費負担の問題は切実であり、多くの企業が、従業員の健康状態をなるべく良くしておきたいと考えている。
❷メンタルヘルス対策
メンタルヘルス不調は年長者だけでなく、20~30代にも多い。健康で当然と思っていた世代にも心身の健康を崩す人が増えてきたのは、深刻な問題だ。
❸業績の向上
これらに加え、健康経営への関心が高まってきた大きな理由として、「心身の健康が仕事の意欲に影響する」という考え方が浸透してきたことがある。
❹人材確保
人材確保が難しくなるなか、健康経営銘柄や健康経営優良法人の認定が、企業のブランド価値向上に寄与する点を意識して取り組む企業も増えている。
プロフィール
武蔵大学 経済学部 経営学科 教授
兵庫県宝塚市生まれ。神戸大学大学院経営学研究科博士後期課程修了。博士(経営学)。専門は組織行動論・経営管理論。
著書に『職場のポジティブメンタルヘルス―現場で活かせる最新理論』(誠信書房)、『日本のキャリア研究―専門技能とキャリア・デザイン』(白桃書房、ともに共著)、『ウェルビーイング経営の考え方と進め方 健康経営の新展開』(労働新聞社)など。
[取材・文]=崎原 誠