第10回 総合トレーニングセンター「ANA Blue Base」(東京都・大田区) 稲水伸行氏 東京大学大学院 経済学研究科 准教授
どのような空間ならば、「学び」は促進されるのか。
オフィス学を研究する東京大学大学院経済学研究科准教授の稲水伸行氏が
企業の研修施設をめぐり、学びを促進させる工夫を解説する。
約4万人のグループ社員に新しい価値を提供する
ANAグループの総合トレーニングセンター「ANA Blue Base」は、羽田空港国際線ターミナル駅の2つ手前、京急空港線・穴守稲荷駅に立地する。これまでは空港周辺に点在していた教育、訓練、研修機能を集約する形で2019年4月に運用を開始したばかりの新しい訓練・教育施設だ。
「昭和50年代から使用していたパイロットや客室乗務員、整備士の訓練施設の老朽化が進み、手狭になったこともあり、新設に向けたプロジェクトが4年前にスタートしました。研修施設や他の専門職の訓練施設も集約することで、『ANAグループの人財育成拠点』と位置づけ、約4万人のグループ社員のために新しい価値を提供できる場にしようという想いを込めています」(ANA Blue Base業務推進室 業務推進部 業務推進チームマネジャーの足立優氏)
8層7階建ての建物には、訓練施設を含め約250の教室・研修室がある。約600名のスタッフや教官が常駐し、同時に4,000名が施設を利用することが可能だ。
「部門間の連携強化が課題だったので、ANA Blue Base ではクロスコミュニケーションの活性化につながる空間づくりを行いました。また、ANAブランドの定着につながる工夫もしています」(足立氏)
さっそく、紹介していこう。