おわりに デザインの力を企業の成長につなげるために必要なこと
「デザイン」とかかわりがない仕事などない
「デザイン」を「芸術的なセンスが必要で、自分の仕事には直接関係がないもの」――。そうとらえてはいないだろうか。だが、いまはビジネスの現場でも、「デザイン経営」や「デザイン思考」といった言葉が使われるようになってきた。これまで色や形といった、モノの外観を指す言葉として使われることが多かった「デザイン」だが、本来の「設計」や「計画」という意味も含めてとらえられるようになってきたのだ。
どのようなコンセプトのもと、どのような製品やサービスをつくり、それをどう顧客に届けるか。そこまで含めた一連を「デザイン」ととらえれば、自分の仕事はデザインとはかかわりがない、と明言できる人などいないはずだ。もちろん色や形といった意匠の意味での「デザイン」のもつ力も、とてつもなく大きい。日本企業はおしなべてその力を軽視する傾向にあったが、これからの時代、デザインの力を経営に生かしていくことが企業の競争力を高める鍵になる。
本特集では、識者の意見と企業事例から、デザインを企業の成長につなげるヒントを探ってきた。そのポイントをまとめてみたい。
POINT ❶一気通貫でビジョンをとらえる
これだけ世の中にモノが溢れるなか、私たちはどのようにモノを選ぶのか。機能なのか、格好良さなのか、ブランドなのか。どちらにしろ、大事なのは心に訴えてくるメッセージがあるか、「ワクワク」させてくれるかどうか、ということではないだろうか。