MOVIE 人事に役立つ映画 人間の本質と組織の病理を描き尽くす 樋口尚文氏 映画評論家 映画監督
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この度、山崎豊子原作『白い巨塔』が韓国版も含め6度目のドラマ化を果たした。往年のキャスト陣の凄さに対して今どきの俳優の層の薄さを嘆きつつも、つい観てしまうのは、ここに組織や人事に事寄せて人間の本質が描かれているからだろう。
そもそも原作が刊行されたのは1960年代前半で、主人公の財前五郎は高度成長期にのしあがってゆく野心家だが、その原点には戦後の貧しさがある。こんな横顔を感じさせてくれる俳優はさすがにいなくなってしまったが、1966年の大映映画版と1978年のフジテレビ版で財前に扮した田宮二郎は実にはまっていて文字通りの当たり役だった。