第5回 2019年以降を占うための視点
経営や人事を担う人材にとって、ビジネストレンドの把握は欠かせない。
1日1冊の読書を20年以上続ける読書のプロが、ビジネスを読みとく書籍を紹介する。
今年は変化の転機
JMAM 時間(とき)デザイン研究所が2019年1月に発表した「2019年はどんな漢字!?」という調査結果※によると、「新」が2位以下を大きく引き離して1位となった。なるほど、いまの時代感をよく表していると思う。どのような時代になるにせよ、「前向き」な言葉が上位に来るのはいいことである。2019年4月には、新元号が公表され、東京オリンピックのチケット争奪戦が始まる。やはり「新元号」「東京オリンピックカウントダウン」という、時代の変換のトピックの影響は大きい。
少子高齢化トレンド、AIによる雇用環境の変化など、不透明な時代感は増すばかりだ。そのなかで、「新」という視点、「切り替え」の視点、そして「楽観予測」の視点は実に重要だと考えている。
さて今回は、2019年以降のビジネストレンドをどうとらえていけばよいかについて、人事担当者の注目ポイントに主眼をおいてご紹介しておこう。
2019年以降の注目ポイント
私が今後を考えるうえで重要だと思うのは下記5つの点である。
①異業種連携の進化・進行
②不足人材要素のいっそうの顕在化
③「教養」の重要性
④若い世代の育成の重要性
⑤人材流動性の理解
①は、これからの時代を予見するうえで非常に重要である。業種業界のすみ分けが緩み、従来では考えられなかった異業種連携(合併)が進む元年となる。
②は、「AI 人材」「データ分析人材」「未来予測人材」の不足感がより鮮明になる。
③は、いまに始まったことではないが、「哲学」「アート」「プレゼンテーション」を知ることがポイントとなるだろう。
④は、当然のことながら企業を強くするための大きなポイントである。育ってきた社会環境が人の強さに影響を与えることを考えれば、20代の人材をこれからどれだけ鍛えられるかというのは企業力につながる。