MOVIE 人事に役立つ映画｜「タテ組織」に殉ずる「陶酔」の危うさ 樋口尚文氏 映画評論家 映画監督
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昭和も去り平成も去ろうといういまどきになって、長く日本に染みついていた「会社組織」と「働き方」をめぐる見直しが徐々に進められている。昭和の「働きバチ」たちの精神は、なぜかくも根深くサラリーマンたちに染みついていたのだろうと思っていたところに、テレビから凄く聞き覚えのある芥川也寸志の悲愴なマーチが……。それは4Kデジタルリマスターされた映画『八甲田山』だったのだが、2019年の年頭には大ホールで『八甲田山』のシネマ・コンサートも催されるという。時ならぬ『八甲田山』再ブームは、もはや旧時代の遺物として揶揄され、居心地の悪くなった昭和のモーレツ精神を懐かしもうという、涙ぐましい懐古趣味に訴えるものであろうか。