J.H.倶楽部

無断転載ならびに複製を禁じます。なお内容は取材・掲載当時の情報です。

Learning Design 2019年05月刊

特集│OPINION3│グローバル化やテクノロジーの進展はチャンス 自分の人生をデザインするため 個人がすべきこと

人生100年時代に、個人はどのようにキャリアを築いていくべきなのか。
大学教授や多数の企業の社外取締役を務め、ダボス会議などでもグローバルに活躍する石倉洋子氏は、まさに自らの力でキャリアを拓いて来た先駆者。
いま、個人がすべきことについて、自身の経験を踏まえて語った。

profile
石倉洋子(いしくら ようこ)氏
一橋大学 名誉教授

一橋大学名誉教授。上智大学卒業後、フリーの通訳などとして活躍。
バージニア大学大学院で経営学修士(MBA)、ハーバード大学大学院で経営学博士(DBA)取得。
マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て青山学院大学国際政治経済学部教授、一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授を歴任。
日清食品ホールディングス、資生堂などで社外取締役を務める。
著書に『世界で活躍する人の小さな習慣』(日本経済新聞出版社)、『グローバルキャリア—ユニークな自分のみつけ方』(東洋経済新報社)など多数。

[取材・文]=谷口梨花

「個人」の時代の到来

「キャリア=仕事のイメージでとらえている方が多いかもしれませんが、いま私たちに問われているのは、自分の人生をどうデザインしていくのか、人生をどう生きるかということなのです」

そう話すのは、一橋大学名誉教授の石倉洋子氏。グローバル化やテクノロジーの発展により、恩恵を手にするのは個人だと強調する。

「いまは個人で勝負できる時代です。一人ひとりが、自分の内なる声に耳を傾け、やりたいことや好きなことをすることが、充実したキャリアにつながっていくのです」(石倉氏、以下同)

石倉氏自身、大学卒業後フリーの通訳を経て、ハーバード大学大学院で日本人女性初の経営学博士を取得。経営コンサルタントや大学教授として活躍するなど多様な経験を積み、現在は個人で活動している。

とはいえ、そもそも「何が好きなのかわからない」「やりたいことがあってもどこから手をつけていいかわからない」という人は多い。

「それは『完璧の呪縛』にとらわれてしまっているからではないでしょうか。完璧の呪縛とは、完璧にできるようにならないうちは何もできない、どこかに完璧なやり方や正しい答えがあるはずだと思い込んでいる状態です。でも、それは難しく考えすぎです。大切なのは『あなたは何をやりたいのか』『好きなのか、嫌いなのか』という、シンプルなこと。まずは気楽に、自分ができることから始めてみればいいのです」

失敗からやり直せるのも100年時代のメリット

石倉氏が勧めるのは、「好きそう」なものからどんどん体験してみることだという。

「好きなことはやっていて楽しいし、いくらやっても疲れないですよね。上達するのも早いです。反対に、好きそうだと思ってやってみたけれど、楽しくないということもあるでしょう。いずれにせよ、やってみないとわからないのです」

そうして行動して、たとえ失敗したとしても、「何度でもやり直せるのが人生100年時代のメリット」だと石倉氏は話す。

「試す機会もやり直す機会もたくさんあるのだから、いろいろなことをやってみた方がいいですよね。私自身、通訳の仕事を辞めてビジネススクールに行こうか迷っていたとき、お世話になっていた先生に『好きじゃないことがわかったら、帰ってきてまた元の仕事をすればいい』と言われて、その通りだなと思ったものです。難しく考えすぎて一歩を踏み出せないのは、本当にもったいないことだと思います」

自分の人生を自分で定義する

自分の人生をデザインする際に大切だと石倉氏が強調するのは、「自分のストーリーを自分で描くこと」である。

「親や先生が敷いてくれたレールを歩く方が楽だという方もいるかもしれませんが、他の人に人生を定義されるなんて、SNS のアカウントを乗っ取られるようなものです。あなたの人生のストーリーを描けるのは、あなただけなのですから」

自分の人生を自分で定義するということは、頭では理解できても実際にはなかなか難しい。その原因は、日本人が受けてきた教育にもあるという。

「子どものころから家庭や学校で『あなたは何がしたいの?』『あなたの意見は?』と聞かれて育っていないことも大きいと思います。そこは欧米との違いを感じますね。だからこそ、『私はだれで、どこに行こうとしているのか』を時々自分に問いかけて考えてみるといいでしょう」

その答えのなかに、その人ならではのユニークさが現れる。そして、これからは自分のポジションやユニークさを見極め、それを明確に打ち出すことが求められるようになる。

「自己紹介のときに会社名しか言わない方が多いですが、それでは印象に残りませんし、ユニークさもありません。自己紹介においても、『私はだれで、どこに行こうとしているのか』を語ることができれば、その内容はユニークなものになります。そして、そのようなユニークな個人が活躍できる場を提供するのが企業の役割ですから、企業側も自分たちが何をしたいのかを明確にすることが求められます。やりたいことを明確にすることで、それに賛同した人が集まる。彼らに活躍の機会を与えることで、企業も個人も成長していくのです」

いま、個人がすべきこと

個人が力を高め、ユニークさを磨いていくために、日々どのような意識をもって行動していけばいいのだろう。ポイントは3つある。

こちらはJ.H.倶楽部会員限定記事です。
ご入会後、続きをお読みいただけます。

残り:1,686文字

/

全文:3,372文字

【入会・年会費無料】

J.H.倶楽部は人事の仕事に役立つ特典が満載です!

  1. 総数2000本以上の人事の実務に役立つ記事(※)が閲覧可能
    ※専門誌『Learning Design』(旧『人材教育』)の記事
  2. 新サービス・お役立ち情報(調査報告書・ホワイトペーパーなど)の先行案内
  3. 会員限定セミナーへのご招待/講演動画・配布資料の閲覧
  4. 興味関心に沿った必読記事を、メールマガジンでお知らせ!