J.H.倶楽部

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月刊 人材教育 2011年01月号

日本・海外のグローバル人材に聞く! プライスウォーターハウスクーパース/TOTO/YKK/アサヒビール/イケア・ジャパン/ガイアックス

堀越 由紀氏
プライスウォーターハウス クーパース コンサルタント
外務省、外資系メーカーで日米合弁会社設立を経て、2007年より現職。年間4~5件のグローバルM&A案件に従事。欧州、米国で7年間の在外経験。専門誌に執筆多数。


渡部 拓氏
TOTO Asia Oceania Pte. Ltd.  India Branch営業担当
2003年にTOTOへ入社、2009年1月にインドへ赴任。インド西部、ムンバイを中心に、営業およびインド全体でのマーケティング活動に従事する。


西崎 誠氏
YKK ファスニング事業本部 ファスナー事業部 スライダー需給グループ グループ長
1986年入社。営業職を経て、1989年からイギリスで約7年半勤務。一度帰国の後、2002年再度イギリス、スペインに勤務。2007年に帰国し、2009年4月より現職。


ロビン・シャンカー氏
アサヒビール 人事部
主任大学時代から航空会社に勤務。その頃日本文化に興味を持ち、1年間日本に短期留学。卒業後石川県の役場で国際交流の仕事に従事、通信会社勤務を経て、2009年アサヒビールに入社。


ヴァンベリ・ビョーン氏
イケア・ジャパン インターナル・コミュニケーションズ・スペシャリスト
スウェーデン出身。学生時代、日本語を学ぶため、語学留学で2度来日。母国の大学を卒業した後、2007年イケア・ジャパン入社。2010年4月より現職。


韓 松熙(ハン・ソンヒ)氏
ガイアックス IT事業開発部 Webプログラマー
梨花女子大学でコンピュータを学ぶ。在学中にアメリカへ語学留学した際に、日本人に出会い興味を抱き、2005年に来日。IT系企業のインターンシップを経て、ガイアックスに入社、現職。

日本のグローバル人材に聞く!

日本企業の多くがグローバル化を進めている。だが、実際に現地に行き、異文化の中で海外の人とともに働くのは、個々の社員である。そうした状況に置かれた時、個々人は、何を日本人の強みと感じるのか。ここでは、海外で働いた経験のある日本人3名に、日本人の長所短所、そしてグローバル人材として求められることを聞いた。

プライスウォーターハウスクーパース

「英語は下手でも人柄が良い」日本人はもっと愛される

世界に通じる日本人の誠実さ

社会主義国家を含む欧州、アメリカでの海外勤務の経験から、グローバルでビジネスを進めるうえでは、「誠実さ」が最も重要な要素だと感じています。これは多くの日本人がすでに持っている資質です。

いうまでもなく、ビジネス上では人間vs人間の信頼関係が肝心。誠実であるからこそ謙虚になれるし、謙虚さは海外でも「人間の美徳」の1つと考えられています。そんな日本人の「誠実=謙虚さ」は海外でも高く評価されています。

ところが、実際は多くの日本人がその魅力をうまく表現しきれずにいるんです。

謙虚が美徳ではないケース

そもそも、自己主張が苦手な日本人が多いのは、日本企業のヒエラルキー構造が1つの要因ではないでしょうか。会議でも、思いつきの発言は許されず、自由に思考し、企画することが難しい環境だといえます。場合によっては、上司や会社に気を遣い過ぎてしまい、「自分が我慢すればいい」と忍耐強さを発揮してしまう。

海外では、忍耐強いことも美徳ですが、会社が不利益を被るかもしれない誤解を、「上司に恥をかかせたくない」「私が間違っていたら恥ずかしい」という理由で我慢することはあまりないと思います。

また、グローバルな場で日本企業の競争力を高めるには、自分の意思を論理的に相手に伝える力が求められます。たとえば「その製品は日本では売れない」という表現では、海外には通じない。売れない理由を日本の社員全員はわかっていても、当然、海外と日本では商習慣の違いがありますから、そこは日本人の手前バカバカしくても丁寧に説明する必要があります。この場合、論理的に説明しないのは“謙虚”ではなく“失礼”です。

語学で勝とうとせず、人格で勝つ

日本人の思い描く「普通」の振る舞いは、グローバル環境では十分「誠実で謙虚」だと思われます。だから、ありのままの自分で向き合っても、本当に多くの人が十分に魅力的で、愛されると思いますよ。「恥をかくのが嫌だから英語はしゃべらない」とか、「自分の意見に自信がない」という考えはやめて、一歩踏み込んだ人間同士の会話をしてほしいです。あまり難しく考える必要はありません。たとえば、お天気の話だけで場を濁すのではなく、日本で普通に同僚に話しているようなことを話せば、海外でもどこでも自然と親密な関係を築けます。日本人同士でも、会えばお天気の話しかしない退屈な人と親しくなりたくはないでしょう。

人間的に親しくなれば、生まれながら誠実で、謙虚なあなたの人柄も理解されやすくなるでしょう。その時に、特別に語学が堪能でなくてもいい。語学のパーフェクションより、人格の強みで勝ってほしいと思います。

日本人に足りないものは、「私の人格はグローバルに魅力的!」と信じる勇気かもしれません。

TOTO

現地の文化を受け入れつつ日本流の仕事を進める

現在、インドで当社製品の営業、マーケティングなどを行っています。その中で実感していることは、日本であれ外国であれ、仕事の進め方は基本的には変わらないということです。

確かに、時間に対して非常におおらかというような、インド独特の慣習もあります。ですが、一生懸命働くのはインド人も同じです。大切なことは、相手の文化や事情を受け入れたうえで、日本流の仕事の進め方をすること。肩の力を抜いて、まずはその土地の文化を受け入れる。これが異文化の中で働くうえで一番大切なことではないでしょうか。

日本企業は、商品を売りっぱなしにせずアフターケアが丁寧、関係者がいかにスムーズに仕事をできるかを思いやりながら協調して仕事を進めるといった、誇るべき面をたくさん持っていると思います。ただ協調性については、周りに流されやすいともいい換えられます。インド人には自分の意見をしっかり持っている人が多く、時には激しい議論になることもありますが、結果としていいアイデアが出てくることもあるんです。

今後、日本企業が一層グローバル展開を推し進めるには、もっと現地に積極的に溶け込み、意見交換をしていく姿勢が必要かもしれません。日本で仕事をする時でも同じですが、情報を共有し、相互の理解を深めることは基本です。そのうえで、その地域に根づいて仕事ができる人材が、ますます求められると思います。

YKK

信頼関係の構築が大切頼り頼られる関係が絆を強くする

私が海外へ赴任したのは、入社して4年目の時のこと。自分が若かったこともあり、部下を持つのも初めて、海外赴任も初めて。何事も深く分析するタイプの日本人に対して素早く行動するイギリス人。仕事だけでなく考え方1つとっても日本の時とは異なり、最初は空回りすることが多々ありました。

そうした海外の人と、どうすれば信頼関係が構築できるのか。ある時、現地の社員が納期の問題で困っていて、私が助けてあげたことがありました。当たり前のことをしたまでなのですが、今度は私が困っている時に率先して助けてくれるようになったのです。信頼関係を構築することの重要性は、日本と海外で大きな違いはないと思います。そして頼り頼られという関係が構築できた頃「仕事がうまく回るようになった」と実感したことを覚えています。

私は、合計で約12年間、海外で働いてきました。海外を見てきたからこそ思う日本の企業の良いところは、きめの細やかさ、几帳面さだと改めて思います。たとえば、検証して、1つひとつのデータを積み上げながら、確実な方法で実行する。そうした長所は、一見目立たないものですが国際的に見て意外と大きな強みになっているのではないでしょうか。

「そんなに分析ばかりして…」と現地の社員から言われたこともあります。ですが、特技を手放して他国を真似ねれば結果が出るわけではありません。日本の良さを認識し、海外で発揮することが今後より求められるはずです。

海外のグローバル人材に聞く!

本特集では「協調性があること」「人を育てる意識があること」などを日本企業の強みとして紹介してきた。だが、それらは海外の人から見ても本当に強みと映るのか?

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