第27回 大人のADHD 藤原英理氏 あおば社会保険労務士法人 代表
働く人の価値観の多様化から「働き方」も変化し、現場の管理職の悩みも“イマドキ”なものになってきています。
そんなイマドキな悩みの解決方法を、社労士の藤原先生が紹介します。
大人のADHD 第27回
落ち着きがなく、注意力が散漫な社員がいる。活発で人当たりもよく優秀な面もあるが、うっかりミスが多いうえ、業務上必要な報告書を書いたり書類を整理したりすることができない。一度厳しく指導した際は、ショックを受けたのか、しばらくパフォーマンスが下がってしまった。このような社員には、どう対応すればよいのだろうか。
ADHDとは?
最近、大人のADHD(Attention DeficitHyperactivity Disorder:注意欠如・多動性障害)が話題にのぼる機会が増えました。日本では10 年ほど前から一般的な用語になってきたようです。出典により数値はさまざまですが、大人の100 人に1~3人が何らかのADHDの症状を持っていると考えられる、という統計もあります。割合で見れば、どの職場にも何人かはADHDの方がいることになります。今回は、彼らとの付き合い方について考えてみましょう。
ADHDの症状は、落ち着きがない、思いつきをすぐ行動に移す、我慢が苦手、注意がそれやすい、集中して話を聞くことができない、といったものです。これらは程度の差はあれ、誰にでもあることではありますが、問題の程度が非常に大きく、社会生活に支障をきたす場合は、ADHDと診断されることがあります。
ADHDの方は、脳の前頭葉の働きの一部に障害があるためにこうした症状が現れるとされていますが、知能そのものには問題がありません。通院と投薬によって症状が改善するケースも多く、周囲の環境や本人の工夫次第で問題なく社会生活を送れるようになる方もいます。