外国人材の心をワシづかみ! 日本発のマネジメント 第10回 英語での発信力を鍛える
世界の人材争奪戦において遅れをとる日本。
打開策は現地の人々のより深い理解、そして日本企業ならではの育成、伝統にある―。
異文化マネジメントに精通する筆者が、ASEANを中心としたグローバル人材にまつわる問題の解決法を解説します。
いよいよ今月は、私たちの永遠のテーマである英語力を取り上げます。筆者は研修と講演の半分を英語で行い、インターネットテレビで英語番組を担当し、英文の書籍も数冊上梓していますが、その経験を踏まえて、「英語力の問題に終止符を打つ」ための具体的な方法を読者の皆さんにぶつけてみたいのです。
仕事のできる英語力
さて周囲を見渡すと、TOEICなどのテストではかなりスコアが低いのに、ちゃんと外国人部下がついてくるリーダーがいます。その一方で、抜群の語学力を買われて赴任したにも関わらず、現地人社員と大喧嘩になり、帰国させられた若手赴任者もいます。
そこで、ここでの英語力とは、英語が上手いか下手かではなく、テストで測る語学力でもなく、「他者に共感しつつ自己を発信できる英語力」、「多国籍チームをまとめられる英語力」と定義して進めたいと思います。
筆者は世界各地のさまざまな業種、職種、職位の日本人の英語に日々触れていますが、体験的に、日本人が英語を使って仕事ができない根本原因は図1の3つにまとめられる、と考えます。
すなわち「専門技能や経験などにおいて自分自身に自信・自負がない」、「日本の歴史を知らず、自社の流儀を知らないから、誇りが芽生えていない」、「どうしても伝わらなければ困る、という絶対理由がない」です。
英語が使えない根本原因
図1から想像できるように、日本人が英語を使って仕事ができない根本原因は、英語力ではなく、発信力にあるのです。詳しく説明しましょう。
まず1.の「自分自身に自信・自負がない」は、文字通り経験不足という場合は別として、3年、あるいは10 年もの経験があるにも関わらず、自分はまだまだだ、と感じている場合です。背景には日本企業ならではの下積み文化や完璧主義の影響が考えられます。