おわりに まだ、人を育てているだけですか?
「チームや組織は、人が集まるだけでは機能しない。(中略)そこで、個人と個人がお互いに信頼できる関係性を築き、協働を促すことで“団体戦”として力を発揮できるようになることをめざす組織開発が必要になる」―組織開発の重要性は、OPINION1中村和彦氏のこの一言に集約されているだろう。
しかも、この数十年の間にビジネス環境が激変しており、より“団体戦”の能力が必要とされるようになった。中村氏によれば、個業化や、不確かで変化の速い時代になっていること、ダイバーシティの進展・人に対する関心の高まりといった点が特に組織開発の重要性を高めているという。加えてOPINION2の高間邦男氏は、“仕事=学習”となっていることも指摘した。つまり、日々の仕事の中で可能な限りスピーディ、かつ効果的に学びを得られる職場環境が求められており、人と人との関係性も学びを左右する重要な要素だということである。
では、そうした変化の下、どういう方法なら、効果的に集団の力を引き出すことができるのだろうか。
組織開発の分類
中村氏は、組織開発には、推進者別に言えば大きく2つ―「リーダー養成型」と「パートナー型」の2つがあり、どちらにもメリット・デメリットはあると説明する。また「レベル別」で言えば、個人、対人間、グループ、グループ間、組織全体といった、働きかける関係性のレベル別の分類ができ、グループ間レベルでは対立解消セッション等、組織全体レベルでは理念の浸透や組織活性化運動などと、それぞれのレベルにおいて相性の良い手法も紹介している(26ページ図1)。
また高間氏は、昨今の変化に望ましい組織開発の手法とは、組織が、環境との相互作用により自ら学習・成長していく力やプロセスを習得できるよう、「生成的変革アプローチ」で進めるものであるとし、その14の原則(特徴)も整理している(30ページ)。