CASE 3 亀田製菓 挑戦を面白がって社内ムード醸成 全社員で参加意識を共有する 目標達成スゴロク
工場現場も事務職も、全ての社員をいかに巻き込み、盛り上げるか―。
亀田製菓は2016年、全部署の目標をスゴロクにまとめる
社内キャンペーンを実施。
結果的に社外の注目も集め、部署を超えた横の連携強化に貢献した。
「面白がる」精神から生まれた目標達成スゴロクの組織開発的効果とは。
●背景 50周年活動を盛り上げる
「他部署の社員がどんな仕事をしているのかよく分からない」「部署内外での連携が十分に取れない」といったコミュニケーションの悩みは、多くの企業の共通課題だ。その解決のために、社内SNSの活用や、社内イベントの開催など、各社はさまざまな手法を試みている。
珍しい方法として、米菓製造の亀田製菓は「目標達成スゴロク」を実施した。といっても、そもそもの目的はマーケティングだった。2016 年、「亀田の柿の種」が発売50周年を迎えたのを記念し、全社で売り上げを伸ばす活動を行うことに。少しでも活動を盛り上げるため、全部署の目標を1枚のスゴロクにまとめたのだ。
「営業職に比べ、特に工場勤務や事務職などの内勤は、社外からの情報が入りづらい環境にあります。『看板商品が50周年』と言われても、何をすればいいのかすぐにはピンと来ないものです。そこで、まずは社内から盛り上げようと、スゴロクの形でまとめることにしました」とマーケティング部カテゴリーチームマネージャーの鈴木智子氏は話す。
具体的にはどう進めたのか。プロセスを組織開発的視点で見ていこう。
●取り組みの概要 全部署からサポーターが集結
まず、マーケティング部が事務局となり、全国の支店を含めた全部署から活動のサポーターを募った。主力商品の周年を盛り上げようと集まったのは若手を中心に総勢約50人。彼らに、各部署で行う目標の設定を依頼した。
「何ができるかを各部署で自発的に考えてほしかったんです。上からの指示でやらされるのではなく、自ら参加する意識を持ってもらえたらいいなと」(鈴木氏)
目標を設定できても、実際に達成のために動いてくれるのか。経営企画部広報チームマネージャーの平野和雄氏は「もしかしたらサポーターだけが盛り上がって、その他の社員が冷めた気分にならないか、当初は不安もありました」と明かす。
しかしその杞憂は見事に払しょくされた。サポーターは四半期に一度集まり、進捗や達成度合いを報告し合い、次期の挑戦を発表した。全社で一括して進捗を共有することも大事だが、サポーターたちは、事務局が発信する最新情報を各部署へ持ち帰る役割も主体的に担った。
「全社一斉メールなどで発信するより、同僚が伝える情報のほうが、各部署で共感を得やすいと考えました」(平野氏)
狙いは功を奏し、サポーターたちは1年間、立派に支えとなり、活動も盛り上がりを見せることになる。
●ポイント① 目標設定の仕方
目標の立て方もポイントとなった。事務局で出した条件は「どんな小さなことでもいいから全員で参加し、やり遂げやすいこと」だ。