CASE 2 JR九州 職場単位の改善活動を全社で共有 年に一度の大々的なCS大会で 楽しく真剣に内省し、承認する
「組織開発」の取り組みだと銘打たずとも、多くの日本企業が、小集団活動等を通じて一体感の醸成・関係性の向上や理念浸透といった施策を行ってきた。
九州旅客鉄道の「サービス改善取り組み発表会」(CS全社大会)もその1つだ。
同社にとって安全と同じく重要なサービスの改善に職場単位で一丸となって取り組み、活動を振り返り、好例を承認する機会となっている。
●取り組み サービス改善活動と組織開発
運輸サービス、不動産、飲食業など幅広いビジネスを展開し、昨年(2016 年)10月には東証一部上場を果たした九州旅客鉄道(以下JR九州)。中期経営計画(2016 ~ 2018 年)では「サービスを社風へ」を掲げサービスの質の向上に努めている。そのサービス改善に関連する最も大々的なイベントが「サービス改善取り組み発表会」(以下、CS 全社大会)だ。
CS全社大会は古く、前身の大会は1993 年から行われており、昨年7月の開催で24回目。同社の歴史とほぼ同じ歩みを経ている大会である。
「前身は、当社の基盤となる『安全とサービス』をテーマにした『SS 運動』でした。それが規模を拡大し、CS(全社)大会となりました。こういった日々の業務を工夫・改善して発表するという場は、当社の風土といってもいいほど当たり前になっています」と、サービス部サービス課課長・香川美津子氏は語る。
CS全社大会の開催は毎年7月ごろ。なんと、100 名近い招待客を合わせた約1000人が参加する。大ホールを借り切って、全国の鉄道会社や九州エリアの企業、取引先なども招待し、同社のサービスや社風を共有する。大会終了後には社長や会長を交えた懇親会も用意されており、「お祭り」的な雰囲気があるが、当日を迎えるまでのプロセスには数多くのドラマがある。「だからこそ、参加者の皆さんが活動について『やってよかった』と清々しい気持ちになり、明日からの活力を養ってくださるようにと思いながら運営しています」(香川氏、以下同)
●大会概要 日常の実践を、楽しく伝える
■出場チーム数・テーマ
CS 全社大会の前には、本社直轄部門の福岡北九州地区と、長崎・熊本・大分・鹿児島の各支社で予選会が実施される。全部で約100 職場(チーム)が挑戦し、全社大会に出場できるのは約15チームだ。
勝ち抜いてきたチームが出場する全社大会では、グループ会社から選抜されたチームも数社加わり、1年間取り組んできたことについて、15 分の持ち時間の中で発表していく。