めざせ☆経営型人事 書籍に学ぶビジネストレンド 第48回 「事業構想力」を養う
ビジネスのトレンドを知っておくことは、経営や人材を考えるビジネスパーソンにとって必須である。
本連載では、データバンクに勤め、1日1冊の読書を20年以上続けてきた情報のプロが、最新のビジネストレンドと、それを自分のものにするためのお薦めの書籍を紹介する。
不透明な世界経済に危機感を持つビジネスパーソンは確実に増えている。特に2017 ~ 2018年は先行きを悲観する論調もあり、注意が必要だ。危機の時期こそ、ぶれずに足腰を鍛えておく必要がある。そこで注目しておきたいのが、「事業構想力」である。
既存社員(特に幹部候補生)には、意識してトレーニングさせるべきである。新規採用の際にも、この資質があるかどうかは重要な採用基準となっていくだろう。
日本能率協会が2016年9月に公表した「経営者に求められる資質と行動に関するアンケート」※1によれば、求められる資質の上位は、1位:本質を見抜く力、2位:過去からの脱却、3位:イノベーションの気概、である 。これには、「事業構想力」が関与しているように思う。
事業構想力を磨くためのコツはいくつかある。まずは「投資家視点」を持つことである。国内外の有力な投資家がどのようなビジネスに注目しているかを知るだけでも、新たな事業のタネを想起することができる。個人的にはウォーレン・バフェットやピーター・ティールといった投資家には常に注目している。もう1つは「広告マーケター視点」を持つことである。『宣伝会議』『企業と広告』といった業界人御用達の専門誌には、数年先のビジネスヒントが隠されており、異業種にとっても参考になる点が多いだろう。
国内・海外の政策や規制緩和トレンドを把握しておく必要もある。規制の背後には新たなビジネス構想のヒントが溢れているからだ。日本の場合、日本経済再生本部※2でのさまざまな議論(例:未来投資会議)や内閣府の規制改革会議※3は定点観測しておきたい。「なぜこういう議論がなされているのか」を考える癖をつけると、事業構想力強化に役立つ。
「事業構想力」を磨くための書籍を分類しておこう。
① 0→1関連本
② 実務家による事業ストーリー本
③ 投資家関連本
①は、0から何かを発想するためのスキルに関する解説本で、明らかに増加傾向にある。この現象だけでも事業構想力への注目をうかがい知ることができる。