第23回 IT 業務が遅いシニア社員への対応 藤原英理氏 あおば社会保険労務士法人 代表
働く人の価値観の多様化から「働き方」も変化し、現場の管理職の悩みも“イマドキ”なものになってきています。
そんなイマドキな悩みの解決方法を、社労士の藤原先生が紹介します。
第23回 IT 業務が遅いシニア社員への対応
定年延長により、当社でも60 代のメンバーがオフィス内で戦力になっている。しかし、中にはITリテラシーが低いためか、新しいシステムの習熟やITを使った業務が遅い人もいる。こうした人たちには、どう対応したらよいのか。パソコンを使わない業務に配置転換するべきか、それとも根気強く教えていくべきなのだろうか。
シニアは本当にITが苦手?
シニアの方はインターネット・パソコンが苦手だという先入観を持たれがちですが、総務省が発表している情報通信白書によると、60 代の方々のインターネット利用率は2002 年の26.0%から2014 年の75.2%へと大きく上昇しています。また、スマートフォンの普及率も、2015 年の27.8%から2016 年には38.5%へと急速に伸びています(MMD研究所調査
60〜79歳の男女のスマートフォン・シニア向けスマートフォン利用率)。
同調査によれば、タブレットの所有率も29. 6%。今日の60 代の方々は、日常的にインターネットもEメールも利用していますし、デジタルデバイスの利用率も上がっており、明らかにIT 機器が苦手という方は少なくなってきているといえます。
しかしながら、パソコンを使った業務へのリスクとして、加齢と共に避けられないのが視力の低下です。個人差はあるものの、50 代から色の判別能力が落ち、文字が読み取りにくくなります。こうした視力の衰えは少しずつ進むため、本人が視力のせいだと気づかないまま、ディスプレイ上の文字を読んだり確認したりする速度が遅くなっていく、ということもあるようです。眼鏡によって矯正できない色覚異常・弱視などに対しては、システム面での対処が必要になります。