外国人材の心をワシづかみ! 日本発のマネジメント 第8回 人生の転機になる海外勤務とは
世界の人材争奪戦において遅れをとる日本。
打開策は現地の人々のより深い理解、そして日本企業ならではの育成、伝統にある―。
異文化マネジメントに精通する筆者が、ASEANを中心としたグローバル人材にまつわる問題の解決法を解説します。
感動のない帰任者座談会
今回は、グローバル時代のビジネスパーソンにとってルーチンと化した感のある海外赴任、あるいは海外勤務(長期出張などを含む)の意味と、その効果を最大化する方法について改めて考えてみたいと思います。
欧米や中国、東南アジアの赴任者の方々との会話や、赴任前研修の1コマとして実施してきた帰任者座談会で私は、「何かがおかしい。せっかくの海外勤務がこれでいいはずがない」という思いを強く感じてきました。
彼らの体験談を聞くと、業務上やプライベートで経験した出来事を時系列で語る方が大半です。それでは聞く側にとって学びが浅いので、こう問いかけるようにしています。
「現地での仕事で、一番の発見や学びと言えるような経験は何ですか」
「海外での生活において、一番の想い出となったのはどのようなことですか」
「海外赴任全体を振り返ってみて、一番の収穫だったと言えるものは何ですか」
こういった質問で記憶の掘り起こしを促すのですが、実は、言葉に窮される方が多いのです。