人事の職場拝見! 第70回 富士通 ソーシアルサイエンス ラボラトリ 面談結果を現場と共有し、意欲や実務のギャップを解消 気づきを促すキャリア開発支援
富士通のシステム会社である富士通ソーシアルサイエンスラボラトリでは、早期より社員のキャ
リア教育を重視。継続による成果が見られつつある。
キャリア教育の先駆け
働き方や仕事に対する価値観の多様化が進み、社員へのキャリア教育が注目されて久しい。官公庁や金融、通信キャリアなど社会インフラのシステムを扱う、富士通ソーシアルサイエンスラボラトリ(SSL)では、キャリア開発部が事業推進部門と連携しながら社員の能力開発を手掛ける。加えて2007 年より仕事や職場の不一致感による早期離職やパフォーマンス低下の対策として、定期キャリア面談と年代別キャリア研修を開始した。これらの取り組みが評価され、2014 年には厚生労働省のキャリア支援企業表彰を受けている。
面談結果を幹部職に共有
面談は入社3・4年目、11 年目、45歳になる社員を必須対象とし、キャリアコンサルティングの国家資格を持つキャリア開発部のメンバーが対応する。ビジネスマネジメント本部キャリア開発部長の竹多祐治氏によると、対象社員は年間500 ~ 700 名に上る。
「過去にさかのぼっての仕事や職場のこと、健康状態、家庭のことなど話題は多岐にわたります。長い時は2 時間ほどかけてカウンセリングします」(竹多氏、以下同)
面談では、CAN(スキルや専門性)、MUST(組織からの期待と本人の考えている課題)、WANT(やりたいこと)に、自分のキャリアを分けて書き出す。
「MUSTは書けたとしても、CANやWANTを挙げられない人も少なくありません。これらを引き出し、新たな気づきや自信につなげるような働きかけが、本人の今後の成長につながると考えています」
面談の情報は、年代別に統計を取るほか、本人の了承を得たものについては、面談内容の一部を所属部署の幹部職に報告する。これらは幹部職にとっては日々の職場マネジメントの確認の、またキャリア開発部にとっては今後の施策を検討するための材料を集める機会となる。