第21回 ギスギスした職場 藤原英理氏 あおば社会保険労務士法人 代表
働く人の価値観の多様化から「働き方」も変化し、現場の管理職の悩みも“イマドキ”なものになってきています。
そんなイマドキな悩みの解決方法を、社労士の藤原先生が紹介します。
第21回 ギスギスした職場
部下に仲の悪い2人がいる。職場で必要な会話は普通にしているものの、裏では互いの悪口を言い合っているらしい。2人とも優秀で良い結果を出しており、今のところ仕事で問題を起こしているわけではないが、職場内にあからさまに仲が悪いメンバーがいるのは良いこととは思えない。放置しておいてもいいものだろうか。
ギスギスした職場の労務リスク
仲が悪いというのは個人間の問題なので、彼らを仲良くさせるのは難しいことですが、このような状況を放置すると、以下のようなリスクが考えられます。当事者間のパワハラ:「同僚の間で無視する・嫌がらせをする」というのは、パワハラの1類型です。パワハラというのは、上司からでなくても成立します。片方が話しかけているのに片方が無視するといった状況や、会話は普通にしていても、仕事上有益な情報の共有を意図的に行わないというような嫌がらせは、パワハラと見なされます。職場の安全配慮義務違反:企業は、従業員のメンタル面での健康や職場のストレスにも配慮する義務があります。優秀な2人がいがみ合っている職場が、他の従業員にとって心地良い就労環境であるはずがありません。周囲のメンバーにとっても、裏で悪口を聞くことや、2人がぶつからないよう調整することはストレスになります。
もちろん、労務リスク以前の問題として、このように仲の悪い人たちがいる職場が、高い生産性を実現できているかどうかも、一考すべきでしょう。