外国人材の心をワシづかみ! 日本発のマネジメント 第2回 日本人の思いが相手に届かない“核心理由”
世界の人材争奪戦において世界に遅れをとる日本。
打開策は現地の人々のより深い理解、そして日本企業ならではの育成、伝統にある――。
異文化マネジメントに精通する筆者が、ASEANを中心としたグローバル人材にまつわる問題の解決法を解説します。
第1回(弊誌2016年6月号)では、優秀な外国人材を獲得し、定着させようとする際、日本企業は報酬と昇進機会において決定的なハンディキャップがあると述べました。先述した通り、それは日本よりGDPの遥かに低い新興国においても顕著であると言えます。
そして、同じく第1回でそのハンディキャップの中で日本企業がとるべき道は、「自社の文化と強みに対する誇りを取り戻すこと。さらに国際的に通じるロジックを通して発信することだ」と問題提起しました。その際、「相手の目を見てそれを真摯に語り、自分の思いをぶつけること」が大切です。
「日本人の思いが相手に届かない原因」は、まさにこれらが“できていないこと”にあるのではないでしょうか。
3つの“核心理由”
具体的に説明しましょう。私は長年にわたり、欧米中アの日系拠点で教育やビデオインタビューを行っています。それらを通し、核心的と言っていい理由が見えてきました(図1)。次の3つです。
①自社流・自分流が希薄
②相手を人として知らない
③リーダーとして慕われていない
それぞれの理由の裏づけとなる、本音で吐露された現地幹部の肉声をご紹介します。
①自社流・自分流が希薄
・「日本人は優し過ぎます。自社ならではの仕事の面白味や意義をはっきり伝えなければ、相手の興味をかき立て、行動へと駆り立てることはできません」
(インド系マレーシア人 音響メーカー人事部長)
・「ローカル社員が日系企業に長く勤めると、中途半端な人間で終わってしまいます。日本人がさらなる挑戦に向け、しっかりリードしないからです」
(インド系マレーシア人 電器メーカー人事部長)