OPINION3 フィードバックは、まめに明確に 外国人部下を納得させる 評価とコミュニケーション
グローバル化を進めているが、外国人材がすぐ辞めてしまい、なかなか定着しない……。
そんな悩みを抱えている企業は少なくないはずだ。
その原因は処遇への不満にあると考えてしまいがちだが、グローバル人材戦略研究所の小平達也氏は「外国人材をリテンションするのは、納得できる評価」だと言い切る。
それは、いったいどのようなものなのか。
進まない「評価」の議論
昨今は企業のグローバル化に伴い、「等級」「評価」「報酬」という基幹人事制度をグローバル対応のものに整える動きが顕著になっている。例えば「等級」であれば一定の役職以上のグレーディングを、グローバルで横並びさせる。また、「報酬」については、各拠点の物価などに応じて世界的にレベル合わせをするといった動きは、よく聞かれる話である。
だが、「評価」についての議論は意外に欠落している。そもそも、基幹人事制度の3つの要素は、等級により序列を決め評価をし、それに報酬で報いるというもので、個別ばらばらではなく一体のものだ。評価も、この一連のフロー、さらに言えば人材マネジメント全体のフローの中で位置づけて見ていかなければならない。
にも関わらず「評価」が取り残されてしまいがちな理由のひとつは、その難しさにあるだろう。そもそもグローバル、国内を問わず、人事評価というのは、ダイナミックな人の営みである。同じ基幹人事制度でも、等級や報酬は、人事部門が制度設計・実施の担い手であるが、評価はそうはいかない。評価者の裁量に左右される部分が大きいからだ。つまり、評価は非常に人間くさいもので、人の感情や、部下に対する上司の向き合い方などが、とても重要になってくる。
「評価」は人材育成の手法
忘れてはならないのは、評価とは人材育成の手法であるということだ。目標管理における目標設定・評価は、部下の業績管理・成果管理の手法としてのみ捉えられがちだが、決してそうではない。期初にゴールを設定するのは、部下が今できていないことを期末にはできるようになることをめざすためである。つまり、目標設定・評価は人材育成のために行うのが、本来の在り方だ。
そのため、評価の担い手である上司は、部下としっかり向き合い、その成長を支援していく必要がある。
だが、特に外国人材を部下に持つ場合、彼らにどのように向き合えば良いのか分からないと悩む上司は多いようだ。例えば、「外国人社員はすぐに退職してしまう」という話を聞くが、その理由を、全て処遇のせいにしてしまっている企業もある。しかし、これは言い訳に過ぎない部分も多い。もし、上司が納得のいく説明と、成長支援を十分にしてくれていると実感できれば、極端な話、部下は少しくらい給料が悪くても、その会社を辞めようとはしない。成長したいと思っているのは、外国人も日本人も同じなのだ。
逆に言えば、上司が日頃から外国人の部下と向き合い、納得性の高い評価をしていれば、リテンションになり、社員のモチベーションも高まり、個人の成長、ひいては会社の成長にもつながるのである。
外国人材の納得感を高める評価
では、外国人材の納得感を高めるためには、どのような評価を行えば良いのか。日本人だから外国人だからという固定観念や偏見を捨てなければならない一方で、文化や環境の違いに根づいた傾向も確かにある。それらを踏まえながら、外国人社員の納得感を高める評価のポイントを紹介していこう。