めざせ☆経営型人事 書籍に学ぶビジネストレンド 第39回 「地政学」から世界を考える
ビジネスのトレンドを知っておくことは、経営や人材を考えるビジネスパーソンにとって必須である。
本連載では、データバンクに勤め、1日1冊の読書を20年以上続けてきた情報のプロが、最新のビジネストレンドと、それを自分のものにするためのお薦めの書籍を紹介する。
前号では、ビジネスパーソンが身につけておきたい教養として「哲学」を紹介した。今回も教養のひとつである「地政学」を取り上げる。これは「民族や国家の特質を、地理的空間や条件から説明しようとする学問」を指す。※1
今、世界では、経済情勢の不透明感、原油価格の下落、テロの発生による安全面での不安等、地政学上の懸念が広がりつつある。世界大手のコンサルティング会社、PwCが2016年1月に発表した「第19回世界CEO意識調査※2」によれば、3分の2ものCEOが「地政学的な不確実性への懸念が最大の脅威である」と回答している。
地政学がいかに注目されているかというのは、書店の店頭も教えてくれる。海外では当然のごとく必須教養として扱われてきた地政学について、日本でも2014年頃からビジネスパーソン向けの関連書が目立つようになってきた。もちろん専門家向けの学術書は以前より刊行されていたが、いわゆる入門書が増加傾向にあることが関心の高さを物語っている。
ビジネス誌でも、地政学特集が見受けられる。例えば、『週刊ダイヤモンド』(2016年2月13日号)の「地政学超入門」はその好例だ。
日本は四方を海に囲まれた独特の地形環境もあり、独自の文明を築き上げてきた。ガラパゴス化が指摘され、良い面、悪い面の両方があるのだが、独自の経済発展を遂げてきたことは事実である。
ただし、日本企業の海外進出活動や、海外企業の日本進出件数が過去最高を記録する勢いの昨今、世界経済圏での生き残りをかけた競争はとうに始まっている。こうした時代背景において、地政学は必須となりつつあるのだ。
併せて世界史も学んでおきたい。地政学に先んじて、世界史を学ぶことが重要視され、数年前から良書が登場している。
さて、地政学関連書籍を分類するとおおむね以下となろう。
①入門書・基本書
②世界史関連書