OPINION2 社内育成しないという選択も!? プロ人材は特性を踏まえ ホワイトカラーと異なる対応を
R&D部門で働くようなプロ人材には、どのような特性があるのか。
そして、そのような特性を持ったプロ人材に対して、どのようなマネジメントをすべきか。
プロ人材と組織の関係に詳しい西脇暢子氏に聞いた。
プロ≠ハイパフォーマー
R&D部門で働くようなプロ人材を、企業はいかにマネジメントすべきか。結論から言えば、ホワイトカラーに対するマネジメントと同じ方法では、プロ人材の能力を生かすことは難しい。プロ人材の特性を踏まえ、別のアプローチを取る必要がある。
そのために、まずはプロ人材がどういう人材か、捉えていきたい。
プロ人材というと、「すごい成果を出す人」というイメージを持つ人が多いだろう。しかし、もともとプロ人材とは、博士、弁護士、会計士、医師などのように、長期的かつ専門的なトレーニングが必要な、体系的な知識を獲得した人材のことであり、「すごい成果」を確約するものではない。駆け出しの医師や弁護士がいきなり目覚ましい成果を発揮できるかといえば、もちろんそんなことはない。経験を積み、自分なりのノウハウを蓄積していくことによって、体系的な知識の使い方を少しずつ身につけていくのである。
それにも関わらず多くの場合、プロ人材は、入社した瞬間から成果を期待されてしまう。この「プロ人材=ハイパフォーマー」という誤った認識を変えることが重要である。
ではプロ人材とはどういう人たちなのか。彼らのすごさはどんな点にあるのか。それは「何をすべきか・すべきでないかのストックが多い人材」という点だ。例えば、化学のプロはどの薬品を組み合わせると何が起きるかを熟知している。望ましい反応を引き出すための「すべき」ノウハウと、事故などの危険を未然に防ぐ「べからず」のノウハウを数多く持っている(図1)。
このように、専門知識を持っていることで物事を問題なく進めたり、日常を安定的に動かすために起こり得る問題を未然に防げるということが、プロ人材の「すごい」ところなのである。
研究職はできるだけ自律的に
R&D部門の人材もこの「プロ人材」であるわけだが、彼らに対し、上司や会社はどのようなマネジメントをすべきだろうか。