めざせ☆経営型人事 書籍に学ぶビジネストレンド 第38回 「哲学」を学ぶ意味とは?
ビジネスのトレンドを知っておくことは、経営や人材を考えるビジネスパーソンにとって必須である。
本連載では、データバンクに勤め、1日1冊の読書を20年以上続けてきた情報のプロが、最新のビジネストレンドと、それを自分のものにするためのお薦めの書籍を紹介する。
社会人になってから「学生の頃にもっと学んでおくべきだった」と感じる学問は多い。英語をはじめとした語学がその筆頭格。財務や教養分野なども上位に挙げられよう。
今回注目するのは、「哲学」である。この分野は、非常に裾野が広く、奥が深い。ソクラテス、プラトン、アリストテレス、カントといった錚々(そうそう)たる哲学者の名前は知っているが、具体的な内容はよく知らない、という人も多いだろう。
欧米人と比較して、日本人は哲学の学びが足りないとよく指摘される。もちろんその分野に精通した素晴らしい教育者もいれば懸命に学んでいる学生や研究者もいるのだが、一般のビジネスパーソンにおいては、いささか心もとないというのが正直なところではないか。
一方、国内外の優秀な経営者で哲学を学んでいない人はおそらく存在しないだろう。その学びが「経営哲学」や「仕事の哲学」に反映される。その事実だけでも、ビジネスパーソンが哲学を学ぶ理由になる。
学ぶことは大切だと感じているが、挫折する人も多い。何となく小難しい感覚が拭えない。いったいどうやって学ぶのが良いのだろうか……。そうした意識を反映してか、哲学に関する入門書が、ここ数年で目立つようになってきた。
哲学への注目度を示す事象は他にもある。2010年には哲学者であるマイケル・サンデル氏(ハーバード大学教授)による『これからの「正義」の話をしよう』(ハヤカワ・ノンフィクション文庫)がベストセラーとなりNHK「ハーバード白熱教室」でも放送され、若者を中心に人気を博すなど大きな話題となった。
2014年には、心理学の巨匠と呼ばれるアルフレッド・アドラーの「アドラー心理学」が注目され、『嫌われる勇気』(岸見一郎、古賀史健著/ダイヤモンド社)が2015年のビジネス書発行部数第1位に輝き、2016年3月時点で104万部を突破した。
最近のトレンドを鑑みながら、ビジネスパーソンのための哲学関連書籍を分類してみよう。
①初学者向け入門書